元巨人・香月良太さん 現在は居酒屋を切り盛り「となりのおくさん」で“口説く”日々

2019年05月16日 11時00分

居酒屋のプロデュースに携わる香月さん

【異業種で輝く元プロ野球選手】朴訥(ぼくとつ)とした青年だった。無駄口を叩かず黙々と練習し、無表情で投げ続ける。飾り気のない男、元巨人の中継ぎ右腕・香月良太氏(36)が、おしゃれな東京・恵比寿で一見ふざけたネーミングの居酒屋を切り盛りしている。その名も「となりのおくさん」。これは同氏が引退後に勤務する「株式会社ネットワークファッション」が看板商品として販売している麦焼酎と同名の店舗だ。

 現役時代は監督から指名され、起用される側だった。だが、現在は本社直営の居酒屋のプロデューサーとして企画営業、人材確保までの一切を任されている。大きい体に似合わず、小さい声でボソボソと話すイメージだったが、それでは務まらない。現在では「あのころの僕はもういませんから。やらなきゃどうしようもならないですからね」とハキハキ、テキパキと仕事をこなす。引退からはや3年目とあって、もうバリバリのビジネスマンだ。

 入社当初は同社の開発した商品をPRし全国に販路を拡大することがメインだった。元プロ野球選手という立場を生かし人脈をフル活用。前出の麦焼酎「となりのおくさん」と芋焼酎の「いまかの」「もとかの」を各地の酒屋に卸すため営業行脚を続けた。さらには夜の繁華街に繰り出しレストラン、バー、居酒屋をめぐり自社商品を売り込んだ。「最初は飛び込み営業なんて苦手でしたけど、やるしかなかったですからね。今はもう平気です」と成長。そこから営業兼店舗マネジャーとして会社に貢献するに至っている。

 現役時代の武器は右打者の内角に鋭く食い込むシュート。「今はお客さんの心に鋭く食い込まないとダメですね」と居酒屋「となりのおくさん」のメニュー充実に執心している。柳川高時代の後輩が営む畜産農家から直接買い付けた佐賀牛最高級A5ランクのイチボステーキ(2400円)は大人気。「いまかの」「もとかの」をハーフ&ハーフでハイボールにした「修羅場」はネーミングで顧客の心をがっちりつかんでいる。

 同社の商品は基本的に業務用で一般小売りはしていない。が、恵比寿の実店舗で入手可能で、公式HPには商品をオーダー可能な全国各地の飲食店を紹介している。香月氏は「みなさんの地元、出張先などでぜひ、うちのお酒を楽しんでくださいね」とPRにも抜かりはない。

「野球を辞めてからの人生の方が長いですからね。引退後の進路についても、後輩たちの参考になるようにしていきたい」。グラブをビジネスバッグに持ち替えた剛腕は、きょうもどこかで「となりのおくさん」を売り込んでいる。

 ☆かつき・りょうた 1982年7月27日生まれの36歳。福岡県久留米市出身。柳川高から東芝を経て2003年ドラフト自由枠で近鉄に入団。翌年オフに球団がオリックスと合併したため「近鉄最後のドラ1」となった。近鉄球団消滅後はオリックス、巨人で主に中継ぎとして活躍。16年に現役引退。通算成績は371試合、18勝10敗3セーブ、防御率3・88。右投げ右打ち。