2月1日から春季キャンプをスタートさせる阪神は28日に先乗り組が一軍キャンプ地の沖縄に到着。17年ぶりリーグ制覇へ向けた戦いがいよいよ本格的に始まる。指揮官就任4年目となる矢野燿大監督(53)にとっても今季は進退をかけた勝負のシーズン。昨季は0ゲーム差で悔しすぎるV逸を味わっただけに「壁を越えるためには限界を超えていくようなメニューが必要」と心を鬼にして若虎たちを鍛え上げる構えだ。

 第94回選抜高校野球大会の出場校が発表されたこの日、阪神のお膝元である近畿地区からは大阪桐蔭、市和歌山など7校が選出。強豪校がひしめき合う同エリアだが、矢野監督の母校・桜宮高(大阪)は公立校ながら昨年の秋季大会では準々決勝進出を果たすなど、ここ数年好調を持続している。「目標は当然ですが、夏の甲子園出場、そして日本一。大阪には日本一レベルの高校が2つあるわけですから生徒たちにとっても照準を合わせやすい」と同校野球部の北風和樹監督(60)は語る。

 北風監督の指導メソッドは、矢野監督と似ている点が数多くある。虎の指揮官の代名詞として今やすっかり「矢野ガッツ」は定着しているが、桜宮では失策などのミスを犯した時に気持ちを切り替えるため「ヨッシャー」と叫ぶ〝逆ガッツ〟を2019年のシーズンには導入。メンタル管理の向上に成功し大阪大会準々決勝にまで進出する好成績を収めた。

 同監督がことあるごとに生徒たちへ説いているのは「ピンチはチャンス。チャンスはショータイム。失敗してもネクスト」という言葉。積極的なプレーの結果のミスは責めず「オレがヤル」のスローガンの下、ナインたちにポジティブなマインドセットの重要性を説き続けてきた矢野監督とここでも重なる部分は多い。

 北風監督は「決して矢野監督と教え、教え合いこのような形になったというわけではありません。スター選手のいない公立校ですので野球の面でも『勉強』しないと我々は勝てない。メンタル面の重要性について勉強し続けた結果、今のような形になった」と語る。プロアマの違いはあれど矢野監督の指導法には共鳴する部分が多いようだ。

 強豪校がひしめく大阪で公立校が夏の聖地切符をもぎとるとなれば、中村紀洋(元近鉄ほか)を擁した渋谷高(1990年)以来32年ぶりの快挙。北風監督も「野球部だけでなくウチの高校の生徒たちは皆、矢野さんのファン。ぜひ勝っていただきたいですね」と寅年の矢野阪神に期待を寄せた。