MLB機構(ロブ・マンフレッドコミッショナー)は3日(日本時間4日)、サラリーキャップ(年俸総額上限)の導入を1年遅らせる修正案を示したが、大リーグ選手会は即座に反発した。
現行の労使協定は12月1日(同2日)に失効する。機構側は新協定の妥結に向けてかねて提案している年俸総額の上限、下限制度の導入を当初の2027年から28年に遅らせる案を選手会に提示。28年の上限を2億5820万ドル(約410億円)、下限を1億8020万ドル(約287億円)とし、27年は現行のぜいたく税制度と収益分配制度を維持するとした。
併せて、メジャー在籍期間が2年以上の選手の最低年俸を100万ドル(約1億5900万円)、2年未満の選手は90万ドル(約1億4300万円)に引き上げ、年俸調停権取得前の選手を対象とするボーナスプールを27年に30%増の6500万ドル(約103億円)とする案も提示。30歳以上の選手について、FA取得に必要なメジャー在籍期間を6年から5年に短縮するという選手会の提案も受け入れるとした。この条件でFAとなる選手には球団がクオリファイング・オファーを提示する権利を残す一方、それ以外のFA選手に対する同制度は撤廃するという。
MLBのグレン・キャプリン広報担当者は声明で「球団が年俸総額の上限、下限制度のもとで運営する準備を整えるには、丸1回のオフシーズンが必要だと認識している」と説明。「この提案なら、FA取得時期の前倒し、最低年俸100万ドル、年俸調停権取得前の選手を対象とするボーナスプールの30%増額、選手の頻繁な昇降格や入れ替えを減らす制度改革など、選手にとって重要な利益となる措置の実施を遅らせることなく、上限、下限制度へより円滑に移行できる」とした。
MLBの試算ではドジャース、メッツ、ヤンキースなど8球団が上限内に収めるために計5億2800万ドル(約840億円)の支出削減を必要とする一方、12球団は下限に届くために計6億3600万ドル(約101億円)の増額が必要となり、全体では1億800万ドル(約172億円)増えるという。「球団間の競争条件をより公平にし、より多くの球団がFA市場に参加し、生え抜きのスター選手を引き留められるようにする」と、戦力均衡にもつながると主張した。
これに対し、選手会はわずか数時間後に同提案を全面否定。公式Xなどに声明を発表し「また素晴らしいシーズンを終えたばかりなのに、オーナーたちは現行制度を壊し、自分たちの懐を肥やし、球団の資産価値を高めるための制度に置き換えようとし続けている」と批判した。
導入を28年に延期しても、選手報酬の大幅削減や契約保証を含む基本的権利の喪失、国内外のアマチュア選手の入団制度の骨抜きなど、悪影響の本質は変わらないと指摘。提案内容は市場原理に基づく制度から「中間層の選手を傷つけ、選手同士を争わせるゼロサムの(限られた報酬を選手同士で奪い合う)制度」に置き換わると強く訴えた。
さらに「いわゆる『移行年』」とされる27年にも、契約上の権利がただちに制限され、ぜいたく税の基準額は据え置かれ、アマチュア選手の契約金は4億ドル(約636億円)削減されると主張。小規模市場の球団が現在持つ競争上の優位性も奪われるとした。
選手会は最後に「選手たちは、野球界のかつてない勢いを生かし、選手、球団、ファン全てに利益をもたらす新たな労使協定に向け、誠実に交渉する用意がある」と結んだが、制度の根幹を巡って真っ向から対立する両者は歩み寄れるのか。












