虎の主砲は3冠王に輝き、夢舞台でも輝けるのか――。阪神・佐藤輝明内野手(27)が6―2で快勝した1日のヤクルト戦(神宮)でリーグトップタイとなる31号2ランを放ち、打率、本塁打、打点の3部門でリーグトップに立った。このまま偉業を成し遂げることはできるのか。そして、その先に見据えるメジャー挑戦でも自慢の打棒は通用するのか。かつて米球界でもプレーした元巨人、中日の本紙評論家・前田幸長氏が投手目線で徹底分析した。
【前田幸長「直球勝負」】今季の佐藤は、昨季リーグトップだった本塁打、打点で再びリーグトップに立っている。ただ私がそれ以上に驚いているのは、昨季の2割7分7厘から大幅に伸ばした打率(3割2分)だ。
なぜこれほど高い打率を残せるようになったのか。一番は当然、ミスショットが少なくなったことだ。さらに今年の佐藤はヒットがホームランになってしまうだけに、もう「フォアボールはしょうがない」という打者になった。
入団当初は穴も多い選手だったが、それを踏まえて「どういう攻め方をされるのか」を毎年頭を使って考えてきたと感じる。だからこそ今は、投手が投げてくる球の予想と実際の攻めがマッチしている。もちろんド真ん中の真っすぐを待つばかりで、初球のボール球や誘い球に手を出して凡退していたら打率は上がらない。その点、佐藤は相手の攻めを読んで対応できる〝頭のいい打者〟だと感じた。
投手目線で考えると、内角低めがポイントになる。右投手だとインローに投げるスライダーになるが、空振りが増えても怖いのは投げ損じて長打になること。足元に切れ込んでいくスライダーをきっちり投げ切れる投手なら良いが、投げ切れなければ四球が増えてしまう。そういう難しさが、今季リーグ2位の58四球にもつながっているんだと思う。
左投手ではインサイドを真っすぐやツーシーム、シュート系のボールで攻めることをなかなかできていない。そこまでの技術を持っている左投手が少ないということだ。だからバットに当てさせないことを考えるしかないし、真っすぐでストライクを取る、という攻めがなかなか難しくなっている。投手からすれば〝お手上げ状態〟に近い。
これだけ投手にとって脅威のある打者になったからこそ、3冠王を取れる選手だと思う。3冠王を取れば、本人が目指しているメジャー挑戦についても、球団は認めざるを得ないんじゃないかと個人的には考える。
もちろんメジャーに行っても、長打は打てるはずだ。佐藤の場合は150キロ後半から160キロを超える剛速球を投げる投手にどう対応するかだが、1年目から25~30本塁打を達成する能力は十分にある。
球団からすると、もちろん来季も残留してほしいだろう。ただ3冠王を取って本人が夢を追いかけるのであれば、年齢も含めて高額契約になるだろうし〝売り時〟でもある。
まずはここまで毎年進化を続けてきた佐藤が今シーズン、どこまで上のレベルにいくのか楽しみに見ていきたい。(本紙評論家)












