新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」は16日両国国技館大会で決勝戦が行われ、大岩陵平(27)が上村優也(31)を撃破し初優勝を飾った。デビューから4年11か月でG1の最短キャリア優勝記録を更新した大岩は「令和の夏男」を襲名。待望のニュースター誕生の裏には2人の師匠の存在、そしてあの人気俳優との意外過ぎるエピソードがあった――。

 生え抜きの新世代同士による決勝戦は、互いのテクニックをぶつけ合う白熱の攻防となった。大岩がヘッドロック、上村がリストロックとクラシカルな技の応酬に会場は熱狂。35分10秒の激闘の末にビッグロック(ヘッドロック)でついにギブアップを奪ってみせた。

天山広吉(左)に優勝を報告する大岩陵平
天山広吉(左)に優勝を報告する大岩陵平

 放送席には、前日15日の両国大会で引退試合を行った天山広吉がいた。かつて付け人を務めた師匠の前で栄冠を勝ち取った大岩は「俺が令和の夏男〝THE GRIP〟大岩陵平だ!」と高らかに宣言した。

 異色のキャリアが最短優勝につながった。2023年9月から、大岩は団体史上初の国内武者修行として、ノアに1年間参戦。そこでもう一人の師匠・小川良成との出会いを果たす。取材に対し「天山さんからは闘魂、小川さんからはテクニック。それぞれの師匠に1個ずつ大事なものを教わったなって。プロレスってやっぱり、技術も精神面もどっちも必要なんだなと思います」と明かす。

 参戦当初は見よう見まねで小川の技術を吸収していたが、次第に直接指導を受けるようになった。受け身の技術から始まり、今や代名詞になったヘッドロックも小川から学んだ。新日本凱旋後も1年間はノアの道場に通い、今もアドバイスをもらう間柄だ。

大岩陵平の修行先・ノアでの師匠にあたる小川良成
大岩陵平の修行先・ノアでの師匠にあたる小川良成

「ノアの技術を新日本の選手が教わるわけなので、本当に自分のことを信頼して教えてくれたんだなって思います。(清宮)海斗さんからは『小川さんがこんなにアドバイスくれることないよ』って言われて。ある意味でノアの選手以上に、かわいがってもらえてたのかもしれません」

 唯一無二のハイブリッドレスラーは「おカネを取れるヘッドロックは自分だけかなって。昔のものでも新しい。このスタイルでも通用することを証明できたかな」と胸を張る。

 さらに自慢の腕力を磨き上げる意外なキッカケが…。25年3月のある日のこと、大岩は知人との食事会で、人気俳優の坂口健太郎と同席。「『なんでそんなゴツイの?』『プロレスラーなんです』『じゃあ僕、腕相撲強いからやろうよ』みたいな流れでやったんですけど、あっさり負けたんです。マジで強かったです…。あれでもっと腕を鍛えよう!となりましたね」と当時を振り返る。

実は怪力?の人気俳優・坂口健太郎
実は怪力?の人気俳優・坂口健太郎

 なお、大岩の名誉のために補足すると、負けたのは右腕でやった時で、利き腕の左腕では圧勝したという。「あれから僕も鍛え直してG1覇者になったので。今やったら右でも勝ちたいっすね。これで負けたら優勝取り消しものですよ」と汚名返上をかけた〝再戦〟を熱望した。

 天山から受け継いだ闘魂、小川から学んだ技術、そして坂口との腕相撲から鍛え直した腕力で栄冠をつかみ取った。10月12日両国大会ではIWGPヘビー級王座(現王者は辻陽太)挑戦が決定的。「THE GRIP」が最高峰王座、そしてプロレス界の未来をつかみに行く。