〝金の卵〟が、いよいよ鷹のエースへ羽ばたき始めた。ソフトバンクは9日の西武戦(ベルーナドーム)に5―0で零封勝ちし、優勝へのマジックナンバーを「33」に減らした。日本ハム、西武との上位勢6連戦も4勝2敗で乗り切り、小久保監督は「めちゃくちゃ大きい。今週は後半戦一発目のポイント(だった)」と声を弾ませた。

 その大一番で主役を張ったのが、先発した前田悠伍投手(21)だ。7回4安打無失点の快投で開幕から無傷の10連勝。2リーグ制後、高卒3年目以内で開幕10連勝以上は1965年の林俊彦(南海)、66年の堀内恒夫(巨人)に次いで3人目となった。背番号41の快投に小久保監督も「隙を見せることなく、今日は悠伍につきます」と最敬礼した。

 大阪桐蔭高からドラフト1位で入団して3年目。昨季はプロ初勝利を挙げた一方「一軍と二軍を行き来する選手になってしまう」と危機感を口にしていた。自身が思い描く成長のプロセスをたどれるか――。覚悟を持って臨んだ今季、目標の一つだった2ケタ勝利到達は、超一流への確かな一歩となった。

 この「3年目の飛躍」は、左腕だけでなく球団にとっても大きな意味を持つ。ホークスは入団直後から前田悠の「特別育成プログラム」を作成し、飛躍までのロードマップを共有してきた。育成指名から球界を代表する選手を何人も輩出してきた一方、「ドラフト1位」に限れば、近年は期待通りの成長曲線を描いた例が多いとは言えなかった。

「金の卵を絶対的エースに」――。鷹が抱えてきた命題に、前田悠はこれ以上ない答えを示しつつある。チーム内からも「前田悠の存在、頑張りはそういう意味でも大きい」との声が上がる。

 今後プロの門をたたく若き有望株にとっても、「手順を踏んだ上での高卒ドラ1の戦力化」は大きな魅力となる。さらなる常勝化へ。21歳左腕の躍進が、鷹に新たな好循環をもたらしそうだ。