勝率5割でも、白旗だけは揚げない。ナ・リーグ西地区でドジャースに大差をつけられ、地区優勝は厳しい。それでもパドレスは3日(日本時間4日)のトレード期限で「売り手」に回らず、前へ出た。ジャイアンツから2021年ア・リーグのサイ・ヤング賞左腕ロビー・レイ投手(34)、タイガースからケイシー・マイズ投手(29)を獲得。米全国紙「USA TODAY」は9日、フェニックス発の記事で、勝率5割前後でも補強を敢行した球団の姿勢に焦点を当てた。
仕掛け人は野球運営担当社長のA・J・プレラー氏だ。球団内外では守護神ミラーらを放出し、将来へかじを切る可能性も取り沙汰されていた。だが、プレラー氏の答えは真逆。「我々は勝つために戦っている。そのことについて謝るつもりはない」と言い切り、毎年ポストシーズンを目指す方針を鮮明にした。
無謀な強がりでもない。パドレスは故障者が続出し、先発要員が実質2人しかいない時期さえ耐え抜いた。タティスは今季初本塁打まで2か月を要し、マチャドも7月まで打率2割を超えられないなど、打線も低迷。それでもワイルドカード争いには踏みとどまり、記事では最後の2枠をフィリーズ、ダイヤモンドバックスとの3球団で争う構図を示した。
補強が即座に実を結んだわけでもない。マイズは移籍初登板で自己ワーストの8自責点。レイも初戦で5回4自責点とつまずいた。それでも先発陣はキングを軸に厚みを増し、8月下旬から9月上旬にはマスグローブ、ピベッタが加わる可能性もある。強力なブルペンを含め、10月へ向けた形は見え始めている。
背景には「勝ち続ける組織」であろうとする文化がある。故ピーター・サイドラー前オーナーの死去後、球団総年俸は2023年の2億5600万ドル(約402億円)から翌年1億7300万ドル(約272億円)へ削減されたが、今季は2億1900万ドル(約344億円)まで再上昇した。新たな実権者となる見込みのホセ・E・フェリシアーノ氏ら新オーナー陣も、10月に新たなチームの戦いを見届けることを心待ちにしているという。
球団創設以来まだ手にしていない世界一、そして1998年以来のワールドシリーズ進出へ。「今」を捨てないことが、未来を諦めないことにもつながる。ドジャースが遠くにいても、パドレスは自ら勝負の席を立つ気などさらさらない。












