球界最大の〝売り物〟が、トレード市場から消えるかもしれない。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は10日(日本時間同日)、8月3日午後6時(同4日午前7時)のトレード期限を前に、タイガースが急転して「売り手」ではなく「買い手」に回る可能性を指摘した。
最大の焦点は、2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたタリク・スクバル投手(29)の去就だ。今季終了後にFAとなる左腕は今夏市場の超目玉とされ、ドジャースなど複数の強豪が熱視線を送る。低迷していたタイガースも当初は放出側に回るとみられていたが、ここへ来て状況は一変した。
チームは9日(同10日)のアスレチックス戦を4―1で制し、破竹の5連勝。直近9試合で8勝を挙げ、43勝50敗まで巻き返した。6月1日(同2日)以降は21勝12敗でア・リーグ最高勝率を誇り、ワイルドカード圏までは3・5ゲーム差。記事中では同カード最終戦前の時点でポストシーズン進出確率が33%まで上昇したとされ、もはや「奇跡」で片づけられない位置まで浮上している。
同サイトのコディ・スタベンハーゲン記者は、なお「売り手」に回る可能性の方が現段階では高いとしながらも、フィリーズとの3連戦や球宴明けのエンゼルス戦でも勝ち越せば、一気に2、3ゲーム差へ迫る展開もあると指摘。混戦のア・リーグ、さらに抜けた球団のない中地区という事情を踏まえれば、逆に補強へと転じる選択肢も十分にあるとした。
では、そんなチームがスクバルを手放す意味はあるのか。放出すれば即戦力と有望株を複数獲得でき、その一部で救援陣や外野を補う〝売って買う〟策も成立する。ただ、同記者は中途半端な対応よりも「このチームを信じるか、信じないか」を明確にすべきだとの立場だ。
タイガースは昨オフにスクバルを売却せず、今季勝負を選んだ。先発陣が上向き、ポストシーズンが視界に入った今になって方針を覆すのは筋が通らない。残留させれば今季の切り札となり、FA移籍時にもクオリファイング・オファーを経てドラフト指名権を得られる可能性があるため、安売りする理由もない。
救援陣や外野を補い、スクバルを軸に勝負をかける――。編成トップのスコット・ハリス球団編成本部長にとっては難しい決断だが、争奪戦最大の波乱は移籍先ではなく「そもそも動かない」という結末かもしれない。












