金満軍団の独走に、ただ一人だけ賛辞の輪へ入り切れない男がいる。ワールドシリーズ3連覇を狙うドジャースは9日(日本時間10日)終了時点で61勝33敗。ナ・リーグ西地区2位に14・5ゲーム差をつけ、圧倒的な戦力を見せつけている。そんな常勝軍団で、費用対効果の面から「唯一の誤算」として厳しい視線を浴びているのが、カイル・タッカー外野手(29)だ。

 ドジャースは1月、タッカーと4年総額2億4000万ドル(約388億円)で契約した。平均年俸6000万ドル(約97億円)はMLB史上2位の超大型条件。ところが今季は打率2割4分9厘、OPS0・730にとどまり、2021年以来初めて球宴メンバーからも漏れた。完全な失敗作と断じる段階ではないにせよ、期待値との落差が大き過ぎる感は否めない。

 米メディア「ファンサイデッド」運営のドジャース専門サイト「ドジャース・ウェイ」は10日、この高給取りに異例の猛ハッパをかけた。米スポーツ専門局「ESPN」のアルデン・ゴンザレス記者が「タッカーは不振脱出へ試合後に打撃練習を始めた」と報じたリポート記事を引用。メジャーでは珍しい取り組みだが、同サイトは「それだけでは十分ではない」と一刀両断した。

 タッカーはベッツやフリーマンらのように、早朝のグラウンド練習へ欠かさず姿を見せるタイプではないという。アーロン・ベイツ打撃コーチは、選手によってチームへの向き合い方は異なるとの見方を示したが、同サイトは過去の同僚やコーチから「野球に比較的無関心」「他選手ほど追加練習に時間を割かない」と評されていた点も問題視した。

 もちろん、タッカー一人が打てなくてもドジャースは勝てる。むしろ層が厚過ぎるからこそ、不振が勝敗に直結せず、本人も猶予を与えられている。それでも年俸6000万ドル(約97億円)の大物が、最低限の努力を示しただけで称賛されるはずはない。

 同サイトは「ドジャースが勝ち続けるために並外れた活躍は必要ない」としながら、「これだけの高額年俸を受け取る以上、もっと努力を見せてほしい」と断じた。独走の陰に隠れていられる時間は、そう長くない。秋の大舞台まで低空飛行が続けば、ファンも球団も黙ってはいないだろう。