「金の卵」を高校のグラウンドから奪うのか――。MLBが打ち出したドラフトの大改造案に、内部から公然と反旗が翻った。米経済誌「フォーブス」は10日(日本時間同日)、フィリーズのブライアン・バーバー球団編成副GM兼アマチュアスカウト責任者(53)が、MLBと選手会の新労使協定(CBA)交渉で示された高校生のドラフト対象除外案に強い難色を示したと報じた。

 11日午後1時(同12日午前2時)にフィラデルフィアで2026年MLBドラフトが開幕する直前だけに、発言のインパクトは小さくない。MLB案では28年から、米国、カナダ、プエルトリコなどを対象とする国内ドラフトの資格を「ドラフト年の9月1日までに20歳以上」「高校卒業から2年以上経過」の両方を満たす選手に限定。事実上、高校卒業直後の有望株は指名できなくなる。

 MLB側は、現在は大半を占める大学選手を従来より1年早く指名できる利点などを掲げる。だが高校生は大学、ドラフトリーグ、独立リーグなどを経なければプロへの扉が開かず、球団の発掘競争も一変する。

 バーバー氏は、まだ決定事項ではないと断った上で、この案には「乗り気ではない」と明言。「スカウティングの本質そのものを完全に変えてしまう」と警鐘を鳴らした。球団側が新制度へ足並みをそろえようとする中、編成幹部が実名で異論を唱えた格好だ。

 反発には明確な理由がある。バーバー氏がドラフトを指揮した過去6年で、フィリーズは1巡目指名6人のうち5人を高校から獲得。2020年のミック・アベル投手(24)、21年のアンドリュー・ペインター投手(23)、22年のジャスティン・クロフォード外野手(22)ら、将来の中核候補を青田買いしてきた。本人も1991年、カージナルスから高校生投手として1巡目全体22位指名を受けた経歴を持つ。

 各ドラフト前には約10日間の会議を開き、候補選手を細部まで洗い直すというフィリーズ。高校生を丸ごと締め出せば、長年築いた評価網も育成戦略も根底から崩れる。若者を守る制度改革なのか、それとも球団の発掘力を封じる暴挙なのか。ドラフト直前に噴き出した〝身内の反乱〟は、新CBA交渉の火種となりそうだ。