低迷するチームで、剛腕だけが異次元の光を放っている。米メディア「ラリー・ブラウン・スポーツ」は6日(日本時間同日)、パドレスのメイソン・ミラー投手(27)が歴史的な快投を続けていると指摘した。

 ミラーは5日(同6日)、敵地ドジャースタジアムで行われたドジャース戦に5―2の9回から救援登板。1回を無安打無失点、1奪三振で締め、今季22セーブ目を挙げた。チームは連敗を8で止めたが、地区首位ドジャースに大きく離される苦境は変わらない。そんな沈滞ムードの中で、守護神だけがすさまじい存在感を放っている。

 同メディアによれば、米データ会社「OptaSTATS」がミラーについて、自責点が公式記録となった1913年以降、シーズン最初の35登板で防御率1点未満、かつ9イニング平均16奪三振以上を記録した史上初の投手と紹介した。今季ここまで35試合で防御率0・98、36回2/3を投げて67奪三振。9イニング平均16・4奪三振という異常値に加え、いまだ被本塁打はゼロだ。昨季はアスレチックス、パドレスで計60試合に登板し、防御率2・63、9イニング平均15・2奪三振、被本塁打5本。もともと圧倒的だった剛腕が、今季はさらに一段違う領域に入っている。

 当然、米東部時間8月3日午後6時(同4日午前7時)のトレード期限へ向け、市場価値は跳ね上がる一方だ。パドレスは買い手に回るのか、売り手に転じるのか揺れる立場にある。だが、仮にチームがポストシーズン争いから後退し、放出へかじを切れば、ミラーは今夏のトレード市場で超目玉となるのは確実。終盤の1イニングを支配できる剛腕を求め、優勝を狙う球団が殺到しても不思議はない。

 注目は移籍市場だけではない。複数の米メディアでは、救援投手としてサイ・ヤング賞候補に食い込む可能性も指摘され始めている。リリーフ投手の同賞受賞は過去9人だけで、最後は2003年のドジャースのエリック・ガニエ投手。先発投手が圧倒的に有利な賞であることは間違いないが、ミラーの数字はその常識を揺さぶるだけの破壊力を秘める。

 低迷するパドレスにとっては手放しがたい守護神であり、売り手に回れば最大級の交換価値を生む切り札でもある。このまま異次元の投球を続ければ、ミラーは今夏の争奪戦の主役となり、23年ぶりの救援投手サイ・ヤング賞という夢物語まで現実に近づけてしまうかもしれない。

救援投手ながら2003年にサイ・ヤング賞を獲得したドジャース・ガニエ
救援投手ながら2003年にサイ・ヤング賞を獲得したドジャース・ガニエ