【グレイシーハンターの〝真実〟 IQレスラー桜庭和志 実録 桜道(16)】1999年は4試合してるんですね。初戦は4月29日「PRIDE.5」でのビクトー・ベウフォート(ブラジル)か…。この試合は戦前からいろいろあったんですよ。
体格差があるから「体重を90キロ以下に落としてしてくれ」と言うと「90まで落とせない」とのことで「じゃあ、できるだけ近づけて」となった。で、計量当日、ケーキ片手に1時間遅れで会場に来たんです。で、体重計に乗ったら100キロオーバー。「話が違うし…」と言ったら「ケーキ食べたら増えちゃった」だって。どんだけケーキを食べたら何キロも増えるんだよ! あれはムカついたなあ…。
だけど、試合をしないわけにいかないじゃないですか。それで開始したら、柔術出身っていう割に、テクニックがあんまりなかったですね。最初は殴ってきたけど途中から止まっちゃって、完全に一本を取られない感じの作戦に変えてきたのが分かりました。
その流れの中で初めて使ったのがフットスタンプ(※1)です。「どうせ、こいつ立ってこねえから」っていうのもあって、お客さんを盛り上げるために〝見せ技〟でやったんです。きっかけはセコンドの金原弘光さんが「跳べ!!」って言ったから。「疲れてるからジャンプも結構きついんですよ…」って思いつつやりました(笑い)。
結果は判定勝ちだったんですけど、金原さんが「『もっと強い人とやらせろ』って言え!」って。いや、それはマズいでしょって思ったけど、試合がつまらなかったから、とりあえずマイクでアピールしたんです。そしたら相手陣営は怒っちゃって。〝俺のアイデアじゃない〟って思ったんですけど、言っちゃったのは僕だから…。
お客さんの〝盛り上がり〟はいつも意識してましたね。この年3試合目になるアンソニー・マシアス(米国)戦で初めて出したモンゴリアンチョップ(※2)も〝誰も使わない技を使ったら面白いな〟って。お客さんに喜んでもらいたいのがあったんです。それでプロレスの技を使えばお客さんが沸いたから使ってたんですよね。
なんでそこまでお客さんを意識したのか。そうしないと会社が潰れちゃうじゃないですか。今までUWFインターナショナル、キングダムと潰れたので危機感は常にありましたよ。「普通に勝ってもつまんねえんだよな」っていう。何かやらないとお客さんは見に来てくれないっていう思いがあって、プロレス技を出したんだと思います。
そして、同年最後の試合でホイラー・グレイシー(ブラジル)と対戦することになりました。
※1…あおむけの相手をジャンプしながら踏みつける技
※2…両腕を振り上げ、相手の肩口に左右の手刀を打ち下ろす技














