【グレイシーハンターの〝真実〟 IQレスラー桜庭和志 実録 桜道(14)】1998年3月、総合格闘技イベント「PRIDE」に初参戦することになりました。1月にキングダムを離れて高田道場に移籍。その後にPRIDEからオファーをもらったんです。当時の印象? その後の盛り上がりなんて想像もしていなかったです。オファーを受けた時は「次の仕事が来て良かった」という気持ちだけでした。
だけど移籍直後は道場が完成していなくてほとんど練習ができなかったんです。できても河原を走るくらい。打撃はシャドーでなんとかなるけど、組みの練習はどうにもならなかった。だから移籍初戦となった「PRIDE.2」のヴァーノン・タイガー・ホワイト(米国)との試合って、実はコンディションが良くなかったんですよ。
それで腕十字を決めるまで30分近くかかってしまいました(※)。本当は1ラウンド(R)で決めたかったんです。っていうのもPRIDE関係者から「1Rで勝ったらハーレーを買ってやる」と言われていて…。大きいバイクが欲しかったから早く決めたかった。なのに序盤、どうしても感覚がつかめなかったんですよ。押さえ込みにいっても相手にくっつくことが全然できなかった。1R中に決められず「あー…、ハーレーが…」ってなりました(笑い)。
でも2、3Rってやっていくうちに感覚を取り戻したというか「くっつけるようになってきたな」っていう感じがありました。練習でも、ちょっと間が空くと感覚を忘れちゃうものなんですよ。力が抜けないからガチガチになって相手との間に隙間ができちゃう。だけど毎日練習していると、だんだん〝ここは力を抜いてもいいな〟という感じで脱力できるようになる。この試合は、それを試合の中で30分かけてやったっていう感じでした。
その後、4月には高田(延彦)さんとともにロサンゼルスにあるマルコ・ファスさんのジムへ出稽古に行きました。その時、ジムの入り口で外国人に「お前か、タカダは?」って間違われて「違うよ、俺は桜庭だよ!」って言ったっけ…。とにかくロサンゼルスでは充実した練習ができたのを記憶してます。
実は、この時にスパーリングでレスリング米国代表のグレコローマン選手を投げちゃったんですよ。とはいっても、何でもありのグラップリングだからグレコも何も関係ないじゃないですか。それで相手がたくさんスパーリングしてヘロヘロなところを一本背負いで投げたんです。これにほかの選手が「え!?」って、見る目が変わったのをよく覚えています。
この出稽古を経て、僕は再び「PRIDE」のリングに上がります。相手は後にUFC王者にもなるカーロス・ニュートン(カナダ)でした。
※結果は3R6分53秒、腕十字固めで桜庭が勝利














