【グレイシーハンターの〝真実〟 IQレスラー桜庭和志 実録 桜道(12)】1997年12月21日、総合格闘技イベント「UFC Japan」のヘビー級トーナメントに参戦し、1回戦でカーウソン・グレイシー柔術で黒帯のマーカス・コナン(ブラジル)と対戦することになりました。

1回戦でコナンと激闘(97年12月)
1回戦でコナンと激闘(97年12月)

 初めての金網(ケージ)は「リングと違って四角くないから広く感じるなあ」という印象。あとはルールを頭に入れることを意識しましたね。といってもやっちゃいけないことを何個かだけ…。かみつき、目つぶし、金的とか「なし」の部分を覚えただけですけど。とにかく「エスケープがない分ラッキーだな」って思っていました。

 ところが試合は消化不良になるんです。相手と打撃を打ち合いつつ“もっと近づいてきてくれー”と相手がタックルに行ける距離に入ってくるのを待っていました。それで、ある瞬間に“来た!”と思ってタックルに行ったらレフェリーに「TKO」って判断されたんです。それで抗議したんですよ。「今のはタックルだろ!」って。

 実は、この試合の前に行われたもう一つの1回戦で安生洋二さん(※1)がタンク・アボット(米国)に負けちゃったんです。それで「僕もやられたらもうキングダムは終わるな」って思っていました。給料も出てないし、安生さんがやられて「ヤバいね」って言いながらウオーミングアップをしていたのをよく覚えています。

キングダムから出場した安生
キングダムから出場した安生

 そんな状況だから、レフェリーストップで「ふざけんなよ!」ってなったんです。だけどレフェリーは何も聞き入れない。そうしたら金原弘光さん(※2)に「金網から出るな。出たら負けを認めたことになるから!」って。その後はキングダムのみんなで座り込んだんです。だけど正直「無理でしょ」って思ってました。終わった直後はマウスピースを投げつけてるんですよ。ムカついて。「どこ見てんだこのレフェリーは!」って。でも時間の経過とともに「アメリカでの放送でも流れちゃってるんだし…」と考えていました。

 ところがその後、判定が覆った(1ラウンド1分51秒、無効試合=誤審)。ただ、タンク・アボットも拳をケガしたとかで、決勝でもう1回コナンと戦うことになりました。その時に「同じ人と決勝っておかしくない?」って話もしましたけど、それ以上に「ここは絶対勝たないと!」というのはありました。「これでやられたらキングダムは終わっちゃうね」っていう話をボーウィー・チョーワイクン(※3)とした気がします。

 そして、この後の再戦で勝利を挙げることができました。あの試合は実際は…。

 ※1…85年7月、第1次UWFでデビュー。プロレス、総合格闘技で活躍した

 ※2…91年12月、Uインターでデビュー。リングスで活躍しPRIDEにも参戦した

 ※3…ムエタイ選手。UWFインター時代から気心の知れた仲

 

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