【昭和~平成スター列伝】新日本プロレス、真夏の祭典「G1 CLIMAX 36」は、現地時間11日に米シカゴで開幕。決勝戦が行われる両国国技館2連戦(8月15、16日)へ向け、連日熱戦が展開されている。
22日の長岡大会ではIWGP GLOBALヘビー級王者ゲイブ・キッドが、NEVER無差別級王者ウルフアロンとの王者対決を制した。青い柔道着を着たゲイブは、東京五輪柔道男子100キロ級金メダリストのウルフに白い道着を投げつけ、両者は柔道着を着て戦いのゴングを聞いた。途中で両者ともに道着を脱ぎ捨てたが、新日マットでは久々に見る光景だった。
昭和の新日本で柔道ジャケットマッチといえば、柔道日本一の金看板を持つ“世界の荒鷲”こと坂口征二のおはこでもあった。坂口は国内のみならず、1978年3月20日には格闘技の殿堂、ニューヨークのMS・Gでミュンヘン五輪柔道男子無差別級、重量級金メダリストのウィリアム・ルスカと柔道ジャケットマッチで対戦している。言うまでもなくルスカはアントニオ猪木と伝説の異種格闘技戦(76年2月6日、日本武道館)で激闘を展開した強豪。米国では珍しい柔道ジャケットマッチはMS・Gを埋めた2万2000人の大観衆の歓声を浴びた。
「元柔道日本一の坂口とミュンヘン金メダルのルスカの激突。黒帯をきりりと締めて両者がリングに上がると、柔道にはなじみが薄いニューヨーカーをドキリとさせた。ルスカが坂口のエリをつかんだ瞬間、後方へ一転。巴投げだ。坂口も間髪を入れず豪快な払い腰。お互いに一本! 坂口が攻める。左の一本背負いと払い腰、さらに大外落とし。両者がもつれると坂口はヘッドシザース。フルハウスのMS・Gが大きくどよめく。赤鬼が本当に赤くなった。柔道着を脱ぐや『サカグチ、カモン』。坂口も脱いだ。いよいよ未知の戦いが始まるのか。MS・Gは割れんばかりの歓声だ。坂口は空手から猪木ばりのアリキック2発。底知れぬスタミナのルスカはチョークから顔面打ち。興奮の頂点にあるルスカは自分のコーナーにあった黒帯で坂口の首を絞めまくった。ここでレフェリーはルスカの反則負けを宣告(10分45秒)。坂口は『黒帯で首を絞めるなんて冗談じゃない。ルスカは柔道家じゃない。プロレスのクレイジーファイターだ』と激怒。決着戦は持ち越しとなった」(抜粋)
結局、79年12月13日京都で再戦が行われるも4分5R時間切れ引き分けに終わった。196センチの均整の取れた肉体は赤いタイツ姿もカッコ良かったが、柔道着を着た時の荒鷲はりりしくも威厳に満ちていた。最近、新日本の上村優也がインスタグラムに近影を投稿して話題になったが、少し痩せた坂口は温和な笑みを浮かべていた。“世界の荒鷲”にはいつまでも元気であってほしい。 (敬称略)













