【昭和~平成スター列伝】FMW女子で一時代を築いた“邪道姫”こと工藤めぐみが波瀾万丈の半生を語った「デスマッチ女王 工藤めぐみ伝説 邪道姫40年目の激白」(5月連載)は大好評を呼んだ。やはり目を引いたのは他団体との対抗戦時代、そしてデスマッチへ足を踏み入れて“邪道姫”とまで呼ばれるようになった過激な時代だった。
中でも翌年限りでの引退を表明した1996年からのミスター女子プロレスこと神取忍(当時LLPW)との壮絶な連戦は、今でも忘れられないインパクトがあった。96年12月11日駒沢(通常ルール)で初対決、97年1月5日後楽園のストリートファイト戦では工藤がバルコニーからチェーンでつられるという惨劇も起きた。試合はいずれも神取の勝利。形式はどんどんエスカレートして、3度目の対決となった同年3月14日札幌では、ついに神取にとっては初のノーロープ有刺鉄線デスマッチが実現した。実に超満員札止め6520人の大観衆が集まった。
「邪道姫・工藤めぐみが有刺鉄線のリングでついに神取忍に雪辱。3度目の正直でシングル初勝利を飾った。血で血を洗う女の戦いはあまりに凄惨だった。神取が工藤の髪をつかんでグイグイと有刺鉄線に近づけると、工藤の額からはあっという間に鮮血がほとばしった。しかし引退が迫った工藤にとって、この一戦は神取に雪辱するラストチャンスでもあり、負けてはいられない。顔面を赤々と染めながらも、必死に食らいつき、神取のラリアートをかわして有刺鉄線に叩きつけた。そして有刺鉄線でゴシゴシとブラッシング。神取の金髪が血で真っ赤に染め変えられた。五分となり最後は気力の勝負だ。ほんのわずかに“勝ちたい”と思う気持ちが上回った工藤が、リバースゴリースペシャル弾からの豪快なエルボー弾で初フォールを奪った」(抜粋)
実に3戦目にしての初勝利だった。神取は工藤との3連戦を振り返って「団体を背負っている人間のつらさや苦しみが伝わった。“邪道姫”って呼ばれてたから要するにアウトローなわけでしょ。当時のLLPWも、全女という大きな団体に反骨心を持って向かっていくアウトローだった。そういう部分で相通じる部分はあったんじゃないかな。あの体で電流爆破のリングへ向かっていった根性は本当に大したもんだと思うよ」と称賛している。
翌月の4月29日、工藤の引退試合はFMW史上初めて女子の試合では横浜アリーナのメインで行われ、ビッグファイヤーを浴びた上に大爆破に巻き込まれた工藤は、勝利の末に救急車で病院に運ばれ、壮絶なプロレス人生を終えた。現在はZERO1のGMを務めており、もう復帰はないだろうが「死」すら覚悟した悲壮なファイトは永遠にファンの胸に焼きつけられるに違いない。













