先発不安が忍び寄る中、チームを安堵させたかったはずだ――。右ヒジのコンディション不良に悩まされていたソフトバンクの上沢直之投手(32)が23日のオリックス戦(みずほペイペイ)で、戦列復帰。5回3失点で3敗目を喫した。初回から2イニング連続で三者凡退に斬って抜群の立ち上がりを見せたが、3回二死から9番・若月に先制ソロを被弾。5回には3安打を集中されて2点を失った。

 復帰戦を前に「帰ってきて結果を残せないのが一番嫌」「チーム状況がいいので、なるべく足を引っ張らないようにしたい」と気合が入っていただけに、満足のいくパフォーマンスではなかったはずだ。この日の最速は149キロ。奪った三振はわずか2つと本来のパフォーマンスからはほど遠かった。降板後、右腕は「5回の失点が悔やまれる。特に3失点目を防がないといけなかったし、防ぐチャンスはあった」と反省。ベンチで悔しさを押し殺すような表情が印象的だった。

 6連戦が続く週頭の火曜日に戻ってきたが、決して万全の状態で戻ってきたわけではない。昨季の「平均球速」は146・1キロだったが、今季はここまで148・2キロ。肉体改造の成果もあって高速化を実現したが、その代償を理解していた。「これだけスピードが増せば体への負担は大きくなる。でも、それを恐れては何もできなくなるし、実際に抑えられない」。チームの窮地を救うべく、ヒジへの負担が少ないフォームを模索しながら一軍に帰ってきた。

 この日、24日のカード2戦目に先発予定だった徐若熙がコンディション不良のためリハビリ組に合流することになり、中村稔のスクランブル登板が決まった。チームで安定してローテーションを守っている先発投手は、大津のみ。無傷の5勝を挙げている期待の3年目・前田悠も、登板間隔を適度に空けながらの「ゆとりローテ」を球団方針として徹底している。質、量ともに先発編成に不安がのぞく中、上沢復帰はチームの待望だった。「明日反動が来ないことを祈ります」。小久保監督の試合後の言葉が切実だった。