怪物の剛腕に、はっきりと異変が表れている。パイレーツのポール・スキーンズ投手(24)が、メジャー3年目で最大の壁にぶつかっている。2024年にナ・リーグ新人王、昨季は防御率1・97で同リーグのサイ・ヤング賞を満票受賞。今季も3年連続で球宴に選ばれたスーパースターだが、登板日程の関係で球宴での登板はなく、その裏で失速は鮮明になっていた。13日(日本時間14日)時点の今季防御率は3・88。直近16先発ではわずか3勝、防御率5・00と別人のような数字が並ぶ。
米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は13日(日本時間14日)までに、その原因をめぐる大物OBの見解を紹介した。通算216勝、6度の球宴選出、3度のワールドシリーズ制覇を誇るカート・シリング氏(59)は、スキーンズの投球フォームに問題があると指摘。「これは予測できたことで、私も予測していた」と断じた。
最大のポイントは「全力投球」だ。シリング氏は、スキーンズが一球ごとにエネルギーを注ぎ込み過ぎていると分析。現在のフォームでは長期的に腕への負担が大きくなり、故障につながりかねないと懸念する。その上で、腕をムチのように振って最大出力を求めるより、腕の伸展とフィニッシュを重視すべきだと主張した。
実際、11日(同12日)のマーリンズ戦では5回65球で降板。速球の平均球速は95・7マイル(約154キロ)まで落ち、通常の97マイル(約156キロ)前後を下回った。腕の角度も直近では26度と、過去2年の通常の23度から3度上昇。球団側は負傷を否定しているものの、見過ごせない変化ではある。
シリング氏は、ストライクは投げられても狙ったコースへ速球を再現する精度が落ちているとも分析し、「それができれば400個の三振を奪うだろう」と能力の高さを認めた。3月のWBC登板にも否定的だったが、「ON SI」は投球量自体が例年より劇的に増えたわけではないとも補足している。
ヤンキースが獲得を狙ったと報じられ、ドジャースも将来の移籍先候補としてたびたび名前が挙がってきた超大物。本人は「常にいろいろなことに取り組み、理解しようとしている」と修正を誓う。問題は剛速球そのものではなく、その剛速球をどう操るか――。怪物が本当の意味で次の段階へ進めるか、今こそ真価が問われている。












