負けられない理由があった。第108回全国高校野球選手権大会の第9日(13日)第3試合で東日大昌平(福島)が青森山田(青森)を6―2で下し、3回戦へ駒を進めた。
先発したエース右腕・照沼(3年)は5、6回にいずれも青森山田・藤川(3年)に適時打を浴びて2点を失ったが、9回112球を投げて7安打2失点で完投。その力投に応えるように、打線も1―1の5回に打者一巡の猛攻で一挙5得点。江井監督は「なかなかバントが決まらなかったり攻撃のリズムが来なかったが、5回に流れが一気に来た。正直2勝もできるとは思っていなかった。選手が1試合1試合成長しているのを感じます」とうなずいた。
甲子園初出場ながら堂々たる戦いを見せ、16強入りを果たした東日大昌平。その原動力となっているのは同じ夢を追い、涙をのんだライバルたちの思いだ。
東日大昌平は県大会準決勝で、聖光学院と対戦。県内86連勝という圧倒的な強さを誇り、5連覇を狙っていた〝福島の絶対王者〟に3―2で競り勝ち、大舞台への切符をつかんだ。
激闘を終えると、聖光学院のレギュラー左翼手・十文字陽生(3年)から渡辺頼都(3年)の元に一通のLINEが届いたという。「俺らの負けだ。絶対に甲子園に行けよ!」という熱い言葉とともに送られた10行にも及ぶメッセージは、すぐさまチーム内で共有された。
「十文字の残した熱い気持ちを自分たちのものにして今日まで進んできた。間違いなくチームの勢いになっている」と渡辺。宿敵から託された情熱に心を動かされ、チームは改めて気持ちを一つにした。
そしてこの日の円陣では「十文字の分まで〝十文字パッション〟で行くぞ!」と声を響かせた。別の選手も「聖光に勝てたことは何より自信になった。それにここで負けたら聖光に申し訳ない。それだけを思ってやってます」と託されたものの大きさをにじませる。
「1戦1勝で、1勝でも多く」(前出の選手)。甲子園での夏を迎えることができなかったライバルのためにも、東日大昌平ナインは戦い続ける。













