崖っぷちの右腕に、まだ最後通告は突きつけられなかった。低迷するメッツで苦しい立場に置かれている千賀滉大投手(33)に、ひとまず次回登板のチャンスが与えられる見通しとなった。腰椎炎症による負傷者リスト入りからメジャー復帰を果たした16日(日本時間17日)のレッズ戦では4回2安打4失点、4四球5奪三振の内容で今季5敗目となり、本来の姿を示し切れず。ローテーション剝奪や再調整の可能性が取り沙汰されてもおかしくない状況だったが、カルロス・メンドーサ監督(46)は即断を避けた。

 米メディア「ヤードバーカー」電子版は17日(同18日)、メッツが千賀を巡って重要な判断を下したと報道。ニューヨークの地元局「SNY」のロバート・サンチェス記者から千賀が予定通り次回登板に向かうのかと問われたメンドーサ監督は「おそらくそうなる」と返答したという。苦境の右腕にとっては、事実上の〝猶予〟と受け取れる発言だった。

 もちろん、内容が許されたわけではない。指揮官は千賀の投球について「試合の最初の3人の打者に対しては理想的ではなかった」と厳しく指摘。その一方で、序盤以降はスイーパーやスライダーを操りながら立て直した点にも目を向けた。千賀自身も通訳を介し「最初のイニングは悔しい」と認めた上で、その後の投球には手応えをにじませた。完全復活とは言えないものの首脳陣がもう一度見極める材料は残した格好だ。

 チーム事情も千賀に時間を与えている。メッツは先発陣に故障者が相次ぎ、ローテーションのやり繰りに苦しんでいる。17日のレッズ戦には9―1で快勝したとはいえ、借金は8。依然としてナ・リーグ東地区下位に沈む厳しい現実は変わらない。今夏のトレード期限を前に球団の方向性も問われる中、先発の駒を簡単に切り捨てられる余裕はない。

 だからこそ、次の登板は千賀にとって単なる一試合ではない。結果を出せなければ、再調整や役割変更の議論のみならず放出や戦力外となる可能性も一気に現実味を帯びる。逆に本来の「ゴーストフォーク」を取り戻せれば、崩れかけた立場をつなぎ留めることもできる。メンドーサ監督が差し出した猶予は、救済ではなく試験だ。ボロボロのメッツで生き残るため、千賀は次のマウンドで答えを出すしかない。