今夏のトレード市場で、最大級の値札が付くのはタイガースのタリク・スクバル投手(29)になりそうだ。今オフにFAとなる左腕を巡り、米東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)のトレード期限を前に、短期補強の「レンタル移籍」が現実味を帯びている。

 米老舗誌「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は28日(日本時間同日)、元レッズ、ナショナルズGMで同サイトのジム・ボーデン氏による分析記事を掲載。低迷するタイガースが売り手に回る場合、2度のサイ・ヤング賞左腕をどう動かすべきか、全29球団の適性を読み解いた。

 焦点となるのは「どこが欲しがるか」ではなく「誰が見返りを払えるか」だ。スクバルは契約最終年。今季中に延長できなければ、タイガースはドラフト指名権の補償だけで流出させるリスクを抱える。2023年にエンゼルスが大谷翔平投手(31)を動かさず、結果的に大きな対価を得られなかった前例も引き合いに出された。

 期限ぎりぎりまで待つほど価値は下がる。1か月早く動けば、獲得球団は7月から10月まで起用できる。期限直前なら期間は一気に短くなり、タイガース側が求められる若手の質も変わる。争奪戦の焦点は「残り期間」という値札にある。

 ボーデン氏が最有力に挙げたのは、かねて最右翼と目されている通りドジャースだ。スクバルに山本由伸投手(27)、大谷、ブレイク・スネル投手(33)、タイラー・グラスノー投手(32)が並ぶ10月の先発陣を「恐ろしい」と表現。若手投手や外野手プロスペクトを組み合わせられる厚みもあり、短期決戦用の最後の一枚として最も絵になりやすい。

 とはいえ、対抗馬も少なくない。レイズはファームの厚みと隠密交渉のうまさがあり、カブスは故障続きの先発陣にエース格を必要としている。ヤンキースは若手放出に慎重でも、価格が下がれば交渉に残る可能性がある。パドレス、ダイヤモンドバックス、ブルージェイズも候補に並んだ。

 もっとも、スクバル自身が健康を証明することが前提だ。左肘の不安が消え、過去2年と同じ投球を取り戻してこそ、タイガースは球団の未来を変える対価を引き出せる。ドジャース本命の見立ては変わらない。ただし今回の争奪戦は、名門の資金力だけで決まる話ではない。どの球団が「3か月のエース」に将来をどこまで差し出せるか。駆け引きは、すでに静かに始まっている。