このまま波に乗っていけるか。セ2位の阪神は12日のヤクルト戦(神宮)に10―0で大勝し、2連勝。首位攻防カードの初戦を投打がかみ合った形でもぎとり、首位ヤクルトに0差と肉薄した。
前週の猛虎は、対中日3連戦(バンテリン)→対DeNA3連戦(甲子園)の計6試合を戦い、2勝4敗と苦戦。10日のDeNA戦の7回まで50イニング連続適時打なしと、打線の歯車の悪さに悩み、首位陥落の憂き目にも遭っていた。
不動のリードオフマン・近本は左手首の骨折で戦線を離脱中。チームのオフェンスも再整備を迫られる中、藤川球児監督(45)はこの日、聖域をあえて破壊する大胆な一手で状況打開を試みた。この日のオーダーは1番・高寺→2番・森下→3番・佐藤輝→4番・大山→5番・中野。昨季から続く虎打線の定石を大きく外す打順だ。
就任以来「凡事徹底」をテーマに戦ってきた虎指揮官は、比較的オーソドックスな戦術を採用しながら昨季のペナントレースを制覇。投打で他球団を圧倒する戦力をそろえていたこともあり〝奇策〟に頼ることは、ほとんどなかった。
この日のオーダーの最大の特徴は、不動の2番打者だったつなぎ役・中野を意図的に5番まで下げ、その位置にチーム屈指のロングヒッター・森下をはめ込んだこと。2番に強打者を置くMLB式のオーダーは日本球界でも一般的になってきたが、広い甲子園をホームとする阪神では、まだなじみが少ない。結果的に10得点の猛攻で、打線復活を印象付けた格好だ。
「今日はこういう形だったというところ。選手の状態もあるし、まだ固めなくてもいい。慌てても仕方ないから」と試合後に振り返った指揮官が、昨季終了直後に掲げたのはチームのスクラップ&ビルド。「今のチームをいったん壊す。解体する」と11月の秋季キャンプ時点で宣言していた。
昨季のセ王者だからこそ、周囲の研究と対策は厳しさを増す。同じ戦い方が2年連続で通用しなかったことは、球団創設90年の歴史の中で一度も連覇を達成していないことが証明している。セ界は現在、上位4チームが3・5差内にひしめく混戦模様。一瞬でも気を緩めれば、あっという間に下位へ転落してしまうリスクもあるだけに、春はまだまだ慎重に試行錯誤を重ねていく。












