阪神が9日、ヤクルト戦(甲子園)で7回途中降雨コールドによる2―0の勝利。開幕から4カード連続の勝ち越しを決めた。

 プロ発先発の茨木秀俊投手(21)が雨中の力投で初勝利を手中に収めたのは、頼りになるクリーンアップの打点。4回、森下の4号先制ソロと大山の適時打による2点が若虎を援護した。

 チームにとって大きかったのは5番・一塁に座っている大山悠輔内野手(31)のタイムリーだろう。4回、1点を先制しなおも無死二塁の場面だ。フルカウントから奥川のフォークを捉え左前に適時打を放った。これが開幕から12試合目、得点圏では15打席目での初安打、タイムリーとなった。

 大山は珍しく一塁ベース上で感情を表に出した。「試合が終わるまで、一点でも多く得点できるように」。持ち前の勝負強さがなかなか発揮できず、思うところはあったはず。ファンにとっても待望の一本であり、ベンチも少なからずホッとしたはずだ。

 ただ、藤川監督はそこに浮き足立った様子を見せなかった。「まだまだ形がきれいにはいきませんけど。話題の一つなんでしょうね。打った打たなかったというところは。これから丁寧にゲームを行いながら、チームが安定してくるのを待つので」と落ち着いた口調で話した。指揮官の言葉に込められていたのは、5番を任せたベテランへの信頼だ。

 大山は3月27日の巨人との開幕戦(東京ドーム)で犠飛を放ち、今季のチーム初打点を記録した。だが、打点は実にそれ以来。不調を心配する声を虎将がかき消した。

 チームは開幕から8勝4敗と安定した成績を残している。それでも藤川監督の視線はもっと先にある。打つ打たないに一喜一憂せず、ゲームを重ねてチーム全体の安定を待つ姿勢。勝ちながら育て、育てながら整えていく。26年バージョン、藤川阪神の輪郭が見える雨の甲子園だった。