【プロレス蔵出し写真館】小橋建太がプロデュースする「Fortune Dream 11」が4月16日、後楽園ホールで開催される。

 恒例となっている小橋のトークバトルの相手は、新日本プロレスの棚橋弘至社長だ。小橋は以前、フェイスブックで〝新日本プロレス・棚橋社長もこの試合をテレビを見てプロレスにハマったそうです〟と投稿していた。

 それが、今から約32年前の1993年(平成5年)8月31日、全日本プロレスの愛知・豊橋市総合体育館で行われた小橋 vs〝殺人医師〟スティーブ・ウィリアムスの3冠ヘビー級王座挑戦者決定戦だ。

 3日後の9月3日に日本武道館大会で三沢光晴の3冠ヘビー級王座に挑戦する予定だったテリー・ゴディが、7月26日の群馬・伊勢崎大会後に発病。小橋とウィリアムスの間で挑戦者決定戦を行うこととなったのだ。

 ウィリアムスは新日本プロレスを主戦場にしていたが、その粗削りなファイトと圧倒的なパワーは団体にフィットしなかった。90年2月21日、全日プロへトレード(新日プロにはリック・フレアー)されると、〝人間魚雷〟ゴディとのタッグチームは、〝殺人魚雷〟の異名で名コンビとなり、90年と91年の世界最強決定リーグ戦で連覇を達成。ジャイアント馬場のアドバイスもあり、ゴディの長期欠場でシングルプレーヤーとして、最強外国人レスラーのひとりとして大活躍した。

 さて、小橋 vs ウィリアムス戦はお互いが持てる技を惜しみなく繰り出し、白熱した試合となった。

 タックル合戦からウィリアムスがスパインバスターを決めれば、小橋はジャーマンスープレックス。ラリアートで場外に落としたウィリアムスにDDTを決め、素早くコーナー最上段に上り、場外へ向かってフライングショルダーアタックで急降下した。ウィリアムスも荒技を繰り出す。小橋をリフトアップしてロープを背にして前に落とすと思わせて、後ろの場外に投げ捨てた。リングに戻った小橋にタイガースープレックスを決めると、小橋も雪崩式ブレーンバスターからDDT2連発で反撃する。

 さらにギロチンドロップ3連発からジャーマンスープレックス。決め技のムーンサルトプレスはカウント2。2発目を狙うも、ウィリアムスがヒザで迎撃した。そして、スリーパーホールドを仕掛ける小橋を切り返して〝デンジャラス〟バックドロップを放つ。危険な角度でマットに突き刺さる小橋。なんとかカウント2で返すも、2発目のバックドロップを食らった。

ウィリアムス(左)の〝デンジャラス〟バックドロップを食らう小橋(1993年8月、豊橋市)
ウィリアムス(左)の〝デンジャラス〟バックドロップを食らう小橋(1993年8月、豊橋市)

 意識もうろうのまま這ってコーナーに向かう小橋は、後ろから捕らえられ3発目のバックドロップを決められ、そのまま押さえ込まれ27分19秒、岩石落とし固めで敗れた。試合後、小橋の健闘をたたえるウィリアムス。

「気持ち悪い」。試合を終えて控室へ戻った小橋がうわ言のように繰り返す。足元もおぼつかない。

 挑戦者がウィリアムスに決まり、三沢がマスコミに「あのバックドロップを食ったらやばいな。首は、まだまだ悪いからね」などと答えている最中、小橋はフラフラとした足取りで控室を出て行く。後を追う取材陣。歩くのもつらいのか、途中で四つん這いになり這ったまま向かったのはウィリアムスの控室だ(写真)。

 リングシューズを脱いでいる途中だったウィリアムスは小橋の姿を見て驚きながらも、手を貸して小橋を抱き寄せ2人はガッチリと抱き合った。左足だけソックスだったのが、ハプニング性を感じさせた。 

 小橋はX(旧ツイッター)で〝バックドロップドライバーは超強烈だった。1993年は僕のプロレス人生にとって、重要な年になった。例え三冠ヘビー級王座挑戦者決定戦とはいえ、三冠の名が付く試合が初めてだった。当時、四天王の中で1番下の僕と外国人選手3、4番手の選手だったウィリアムス選手、向上心を持った二人が戦って熱い試合にならない訳がない(抜粋)〟とつぶやいていた。

 改めて小橋に聞くと「お互いに全力を出してやったという思いがあったから、叩きつぶされたけど〝ありがとう〟という気持ちで控室へ這って行った。ウィリアムスも同じ思いを持って試合に挑んだと思う。(相手の控室に行くという行為は)ない、ないです。それだけウィリアムスの試合を自分の中で認めた。そういう試合ができたんだという思いで行きました」と振り返った。

試合後、控室で健闘をたたえ合った小橋(手前)とウィリアムス(1993年8月、豊橋市)
試合後、控室で健闘をたたえ合った小橋(手前)とウィリアムス(1993年8月、豊橋市)

 ウィリアムスからは、晩年「小橋との3冠戦(94年9月3日、武道館)がオレのベストバウトだ」と伝えられていたという。

 棚橋との〝バトル〟では、このウィリアムス戦が熱く語られることだろう(敬称略)。【プロレス蔵出し写真館】の記事をもっと見る