米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは29日、トランプ大統領が、昨年6月に爆撃したイランの核施設に埋もれている約450キログラムの高濃縮ウランを奪取する複雑な軍事作戦の実施を検討していると報じた。濃縮ウラン回収については、戦争当初から欧米メディアが報じてきたが、現代の軍事作戦の中では最高難度となるため、実行の可能性が低いとみられていた。

 トランプ氏は戦争終結の条件として濃縮ウランの引き渡しを挙げている。

 記者団に「彼らは核兵器を放棄する。そして〝核の粉(ニュークリア・ダスト)〟をわれわれに渡すことになる」と話した。

 濃縮ウランの兵器化を止めるため、米軍は昨年6月、イランの地下核施設であるフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3か所を不意打ちで空爆し、破壊した。濃縮ウランは現在もナタンズとイスファハンの施設に埋もれていると想定されている。

 それをイランが引き渡さなければ、米国が物理的に奪うことを検討している。現在、米兵へのリスクを慎重に検討しており、トランプ氏はまだ最終決定を下していない。

 軍事事情通は「国際原子力機関(IAEA)関連の情報では、イランは攻撃前に60%濃縮ウランを約450キロ保有していたと見積もられ、さらに濃縮すれば最大で約10発分の兵器級核物質に相当し得る量となるといいます。これをイランが回収でき、破壊された施設の遠心分離能力も使えるとしたら、兵器級濃縮までには2週間とされます。ただし、そこから実戦配備可能な弾頭まで作るには、数か月から1年はかかるという説があります。そのためトランプ氏としては施設完全破壊よりも、奪取した方が確実と考えているのかもしれません」と語る。

 これを実際に回収するには、難易度がかなり高い。成功すれば核開発能力を削ぐことができるが、失敗すれば長期地上戦に発展してしまう。

 濃縮ウランは、数十本の特殊な円筒容器に保管されているとみられ、汚染や事故を防ぐため防護輸送容器に収めなければならない。

「イランの核施設は、イラン奥深くにある山の岩盤下の地下数十から数百㍍にある要塞で、入り口は破壊され、がれきに埋もれているものの、強固な防空網と革命防衛隊によって守られています。制空権を完全掌握し、工兵ががれきを採掘して入り口を作り爆発物を除去し、特殊部隊とともに米エネルギー省の核緊急支援隊(NEST)が侵入し、運び出すことになります。その間、ドローンやミサイル攻撃への備えも必要です」と同事情通。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、陸軍レンジャー部隊や海軍特殊部隊SEALsを含む数百人の米特殊作戦部隊員がイラン周辺に到着しており、すでに展開している数千人の海兵隊員や陸軍空挺部隊に合流しているという。

 奪取作戦を視野に入れての配置なのかもしれない。