【取材の裏側 現場ノート】昨年9月にSKE48を卒業し、現在、故郷・広島でタレント活動を行っている藤本冬香(27)が4月3日の広島―阪神戦(マツダ)で始球式を務めることが発表された。当日は藤本の28歳の誕生日。「このような機会をくださったJ SPORTSさん、夢の実現のために力を貸してくださった事務所(広峰芸能)の社長はじめとする皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。阪神の先頭打者は近本選手だと思いますが、本当に偉大な方です。デッドボールにならないようアウトコースに全力で〝カープが大好き!!〟という気持ちを込めてストレートを投げます」と意気込んでいる。
藤本がSKE48のメンバーだったころ、何度か取材をした。初めてインタビューをしたのはまだアイドルになったばかりの2019年6月。「私にはアイドルとしてかなえたいことがあるんです」。熱く夢を語ってくれた。
それは「SKE48の選抜メンバーになる」「地元の広島でお仕事をする」「マツダスタジアムでの始球式登板」「マツダスタジアムで流れる応援歌『それ行けカープ』の芸能人映像に参加する」の4つ。「1つでもかなえば御の字だろう」というのがそのときの正直な感想であったのだが、なんと藤本は約7年かけて全ての目標をクリアしたのである。
2024年3月にはSKE48加入6年目で初めて地元のテレビ番組(広島ホームテレビの広島カープ応援番組「カープ道」)に出演。同年10月2日に発売されたSKE48の33rdシングル「告白心拍数」では初の選抜入りを果たした(ちなみに26歳での初選抜はSKE48史上最年長記録)。さらに25年シーズンには内藤哲也、谷原章介、アンガールズら著名カープファンと共にマツダスタジアムで流される「それ行けカープ」の芸能人映像にも出演している。そして28歳の誕生日にはついに最後の夢がかなうのである。
何より藤本がすごいのはSKE48時代に達成した3つの目標(選抜入り、地元仕事、「それいけカープ」芸能人映像への出演)はすべて自身の強い意志とファンの熱い応援を武器に達成したことだ。いわゆる〝推されメン〟ではなかった藤本は5年以上の月日をかけて地道にファンを増やしていき、握手会を完売させて選抜メンバーの扉をこじ開けた。広島でのメディア出演や「それいけカープ」の映像出演もSKE48の運営事務所が取ってきた仕事ではなく、藤本の熱いカープ愛、地元愛が伝わって広島球団や広島のテレビ局からオファーされたものである。
藤本はたった1曲だけ選抜メンバーとして表題曲を歌ったが、次のシングルでは選抜外となった。もしもあのまま選抜メンバーに定着していればおそらくまだSKE48で活動していたはずだが、選抜落ちしたことで地元・広島に戻って新たな道に進むことを決断。それでも「今、タレントとして活動する中でSKE48時代のラジオや劇場公演のMCでの経験がすごく役に立っているんです。私を育ててくれたのはSKE48です」とグループに感謝している。
昨年9月28日にSKE48劇場で行われた卒業公演の最後、藤本はカープカラーの赤を基調とした卒業ドレスで登場した。卒業するメンバーにはSKE48の衣装部が本人の希望に沿った卒業ドレスを制作してくれるのだが、藤本は定番の華やかなロングドレスではなく、動きやすいミニスカートで足元は何とスニーカーをオーダー。背中にはスパンコールで「FUYUKA」のネームと背番号「48」が装飾されている。
実はこの卒業ドレスは、カープ戦の始球式に投げることを想定して藤本が作ってもらった〝始球式用衣装〟なのである。もちろん、その時点では始球式の予定など全く決まっていない。それでも「次のステップで必ず夢をかなえる」という強い意志がこの卒業ドレスには込められていた。
4月3日、藤本はこのドレスを身にまとってマツダスタジアムのマウンドに立つ。「私はSKE48のメンバーだったこと、48グループの一員だったことを誇りに思っています。だから背番号は48にしました」。夢をかなえたマウンドで藤本がどんな投球を見せるのか楽しみだ。(中京報道部・宮本泰春)














