ソフトバンクは27日の日本ハムとの開幕戦(みずほペイペイ)に6―5の逆転勝ちを収め、白星スタートを決めた。両軍合わせて6発のアーチが飛び交った激しい空中戦を制し、価値ある勝利。試合後、王貞治球団会長(85)は「勝つと負けるじゃ、大違い。シーズンを暗示するような試合だったね。(優勝への道は)去年以上に大変だよ」としみじみと語った。

 初回に上沢が2本のアーチを浴びて3点を失い、先行きは不安だった。だが、栗原、近藤、山川の一発攻勢で形勢逆転。終盤まで一進一退の攻防だったが、8回に牧原大の犠飛で勝ち越した時点で、試合は決したと言っても過言ではなかった。

 開幕戦、相手はペナントを争う最大のライバル。たかが1試合では片づけられない重たいゲームで、9回のマウンドはいつになく緊張感があったはずだ。首脳陣が当然のように送り出したのは、オスナから「絶対的守護神」の座を実力で奪取した杉山一樹投手(28)。難なく二死を奪った後に栗原の失策で走者を背負うも、最後の打者を何事もなかったように抑えて試合を締めた。直前までベンチで表情を曇らせていた小久保監督に特別な開幕星を届けた右腕は、何食わぬ顔で汗をぬぐい仲間とともに勝利を喜んだ。

 今季にかける思いは特別だ。2024年からリリーフに専念。一昨年が50試合で防御率1・61、昨年が65試合で同1・82をマークして31セーブを挙げて初のタイトルを獲得した。今やNPBでも屈指のクローザー。海を越えてメジャーからも熱い視線を集める存在となった。

「WBC、本当は出たかったですよ」。大会終了後、正直にそう漏らした。ポストシーズンを含めれば、昨季までの2年間で126試合に登板。出場願望を持ちながら、侍のユニホームに袖を通せなかった理由は確かにある。杉山に代わる存在は、そういない。コンディション面の問題は本人にしか分からない。クローザーを託され、より責任感が増し、さらにチームへの忠誠心も芽生えた。立場が人をつくる――冷静に自分の状態を見つめ、チーム全体のことを考え、個人の願望を胸の内にしまい込んだことは言うまでもない。

 2026年のオープニングゲームで貫禄たっぷりに試合を締めた守護神。王会長が最後に「杉山は今日もしっかりしていたね」と力強くうなずいたように、チームから絶大な信頼を寄せられている。強いチームには必ず唯一無二の守護神がいる。