ベネズエラの快進撃を最後に締めくくる男が、一気にその名を世界へ押し広げた。WBCで初の決勝進出を決めた同国の守護神ダニエル・パレンシア投手(26=カブス)だ。14日(日本時間15日)の準々決勝・日本戦では9回から登板し、最後は大谷翔平投手(31=ドジャース)を力のない遊飛に打ち取って8―5の勝利を完結。侍ジャパンを沈めた〝ラスト斬り〟で、日本のファンにも強烈なインパクトを刻み込んだ。

 米誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」が伝えたところによれば、パレンシアは今やベネズエラ躍進の象徴的存在だ。2023、24年は決して順風満帆ではなく、メジャー最初の2年間の通算防御率は5・02。それでも昨季はカブスで54試合に登板し、防御率2.91、52回2/3登板で61奪三振、22セーブと一気に飛躍した。荒れ球の剛腕から、試合を終わらせる本格派クローザーへ――。その変貌が、母国代表の大舞台でもそのまま表れている。

 本人が挙げた飛躍の要因は、実にシンプルだ。最大の武器である速球を「思い通りの場所に投げられるようになった」こと。剛球そのものは以前からあった。だが力任せではなく、狙ったコースへ投げ込めるようになったことで一気に投球の質が上がった。持ち前の豪快さの裏にあるのは、制球という繊細な土台だったわけだ。

 今大会でも、その進化は鮮明だ。1次ラウンドB組のグループリーグ2試合で2イニング無失点、被安打0、3奪三振。日本戦でも無失点で締め、さらにイタリアとの準決勝でも9回を3人で片付けてセーブを記録した。派手な腕の振り、打者を押し込む球威、そして最後は淡々と試合を閉じる冷静さ。ベネズエラにとって、これ以上ない〝最終兵器〟になっている。

 人となりを物語る証言も温かい。カブスのチームメート、ケイド・ホートン投手(24)は「素晴らしい人間で、素晴らしいチームメートであり、努力家」と称賛した。大谷を打ち取った豪腕というだけではない。周囲に信頼され、努力で居場所を切り開いてきた男だからこそ、祖国の歴史的快進撃のラストを託される。パレンシアの名前はもう文句なしに〝ベネズエラの守護神〟として、日本でも覚えられる段階に入った。