第6回WBC準々決勝から先は、単なる「世界一の争い」ではない。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は、今大会が中南米の強豪国にとって2028年ロサンゼルス五輪の野球競技出場権をかけた「もう一つの本戦」になっている実態を伝えている。
ロサンゼルス五輪で野球は復活するが、出場国はわずか6か国。開催国の米国を除く「アメリカ大陸」枠は2つしかない。つまり、準々決勝に進んだドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラ、カナダの4か国で、残り2枠を奪い合う構図だ。中南米の野球大国がそろって生き残ったことで、世界一と五輪切符が同時にかかる異例の短期決戦となった。
実際、プエルトリコのヤディエル・モリーナ監督(43)は「何がかかっているか理解している」と明言。ベネズエラのオマール・ロペス監督(49)も「最大の目標は五輪出場権獲得」と言い切った。ドミニカ共和国のアルバート・プホルス監督(46)も、優勝への意欲と並べて五輪切符の重要性を口にしている。
背景には、メジャーリーガーが出場できる可能性が高まっているロサンゼルス五輪の特別な意味がある。MLBと選手会は、メジャー選手の五輪参加へ向けた合意を目指しており、従来以上に「出る価値」が膨らんでいる。だからこそ、ここで切符を逃せば痛い。キューバやメキシコはすでに今大会の結果で出場権獲得ルートを失った。
野球の本場・中南米で、WBCは今や「世界一決定戦」であると同時に「五輪予選」にもなった。日本の連覇ばかりに目が向きがちだが、マイアミでは別の温度を帯びたサバイバルが静かに熱を吹いている。












