〝沈黙〟はやり直すためにある。巨人の戸郷翔征投手(25)は春季キャンプ第5クール初日の19日、個人メニューとしてネットスローに取り組んだ。
焦点は、ここ2、3年で球威を追い求める中で意図せず高くなっていたリリースポイントの修正だ。打者を相手にすると、どうしてもコントロールを意識しすぎてしまうという。この日はネットに向けて約250球を投じ、自身が〝最も腕を振りやすいフォーム〟を再確認しながら原点回帰を図った。
「徐々にフォーム固めはできてきています」と手応えを口にする一方で、「悪いフォームで2、3年投げていた。覚えるのは簡単ですけど、戻すのって何十倍も時間がかかる」と、試行錯誤の過程も明かした。
昨季は2度の二軍調整を経験するなど、プロ入り後最大の不振に直面した。復活を期す今春のキャンプは、投球フォームだけでなく精神面も含めた立て直しの正念場となっている。
そんな中、今月には自身初の著書『覚悟』を上梓した。宮崎・都城市で釣りに親しみながらバットを振り続けた少年時代から、高校野球での挫折、華々しいデビューとWBC出場を経て昨季までの歩みをつづる。担当した編集関係者によれば、宮崎県の戸郷ゆかりの地を実際に訪れるなど〝リアリティー〟を追及したという。
戸郷の野球人生を起承転結になぞらえるなら、昨年の挫折は「承」あるいは「転」。今季控える「復活のフェーズ」を前に出版に至った理由について、戸郷は「僕は取材にしても断ることはない。オファーがあってスケジュールが合えばやりたいなと思って」と切り出し「本を書くのは一生に一度くらいのこと。今後、何か悩んだ時に、『あのときはああだった』と思い返せるような心情を記す意味では、今回本を出してすごい良かったなと思いますよね」とも力説した。
同書には、奮闘の最中だからこそ紡がれた生々しい感情や細やかな描写が詰まっている。「10年後に読むのが絶対面白いと思う。35歳ぐらいになった時、自分が思い描いていたストーリーと実際の歩みを照らし合わせるのも楽しみ」。エース戸郷の物語に「復活」のページは刻まれるか。












