フィラデルフィアのクラブハウスには、まだ小さな〝トゲ〟が残っているようだ。インド系の米メディア「スポーツキーダ」が週間トピックとして取り上げたのは、フィリーズの主砲ブライス・ハーパー(33)が球団フロントの言葉をいまだに「飲み込めていない」という空気感だ。
発端は昨年10月、地区シリーズ敗退後の総括でデーブ・ドンブロウスキー編成本部長(69)が「(ハーパーは)以前のようなエリートなのか」と公の場で疑問を投げかけ、ハーパーのトレード放出説にまで発展した件。ハーパー自身、昨季は打率2割6分1厘、27本塁打、75打点、OPS.844で、右手首の炎症により約1か月離脱したことも含めて「望んだ年ではない」と認めている。だが、問題は成績よりも〝手続き〟だった。
フィリーズ移籍当初の2019年に球団側から「我々は常に内部で問題を処理する」と約束されたのにもかかわらず、その前提が守られなかった――ハーパーの胸に残るのは、この一点だ。だからこそ、ハーパーは「あれは荒唐無稽」と前置きした上で「確かに(昨年は)望んでいたようなシーズンではなかった。ポストシーズンでも結果を残せなかった。数字も求められる水準に達していなかった。それは分かっている…それでもデーブ(・ドンブロウスキー)が公の場であんな発言をするのは、今でもちょっと信じられないよ」とも続け、言葉が強くなる。
もちろん球団側は火消しもしている。ドンブロウスキー編成本部長はポッドキャスト番組「ファウルテリトリー」で「トレードの話は事実と違う。彼を愛している」とうわさを否定し、誤解の拡散を止めようとした。
だが〝蒸し返し〟が起きるたび、ハーパー側のウヤムヤ感も一緒によみがえる。26年シーズンへ向けた準備の裏で、信頼のほころびが完全には縫い戻されていない。
さらに、フィリーズ周辺の〝空気〟をよどませる話題がもう一つ。元主力のニック・カステラノス外野手(33)だ。昨季6月にトムソン監督や打撃コーチと〝衝突〟するなど関係がこじれ、今オフに球団から放出。フィリーズは5年契約の残り1年2000万ドル(約30億6000万円)の支払いを抱えたまま決別し、一方のカステラノスはパドレスで再出発する形となった。カステラノスは「感情に流された。次はため込まず早めに声を上げる」と後悔を口にしているものの、裏を返せば〝造反の声〟を上げた時点で両者の関係修復が難しいほど、空気が詰まっていたということでもある。
ハーパーと球団フロントの確執、そしてカステラノスの放出も結局は互いの「意思疎通」が重要なキーワードとなっている。今季のフィリーズは補強や戦術以前に、クラブハウス内のコミュニケーションが大きく問われることになりそうだ。












