英国、フランス、スウェーデン、ドイツ、オランダの5か国は14日、2年前に刑務所内で死亡したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(47=当時)が「ヤドクガエルの毒」によって毒殺されたと発表した。5か国はロシアが化学兵器禁止条約に違反しているのは明らかだとして、化学兵器禁止機関に通知した。これに対し、ロシア外務省は「情報操作だ」と否定している。
政治犯として収監されていたナワリヌイ氏は2024年2月16日、刑務所内で死亡した。当初からロシア当局は一貫して「自然死」と結論付けていた。
しかし、ナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワリナヤさんは「プーチン大統領が殺した」と主張していた。というのも、ナワリヌイ氏はプーチン氏を徹底的に批判し、〝プーチンが最も恐れる男〟として知られるカリスマ的活動家で、2020年には神経毒ノビチョクによる暗殺未遂に遭ったからだ。
そして、14日、5か国の発表に合わせて、英国のイヴェット・クーパー外相はミュンヘン安全保障会議の場で「ロシアで投獄されていたアレクセイ・ナワリヌイ氏に対し、この致死性の毒素を使用する手段、動機、そして機会を有していたのはロシア政府だけだった」と明かした。その場には妻のナワリナヤ氏も同席していた。
また、ナワリヌイ氏の遺体の検査結果が、エクアドル産ヤドクガエルの皮膚から発見された神経毒エピバチジンという猛毒と一致したと発表した。
地球上で最も危険な毒の一つと称されるエピバチジンは、モルヒネの200倍の強さがあり、麻痺、呼吸困難、そして死を引き起こすとされる。
妻のナワリナヤ氏は2025年9月、ナワリヌイ氏の検体サンプルを西側諸国2か国に〝密輸〟したと発表していた。それを今回の5か国の専門家が別々に検査し、エピバチジンで毒殺されたと結論付けたという。
なぜ、このタイミングでの発表だったのか。
ロシア事情通は「ナワリヌイ氏の死が発表された24年2月16日に開かれたミュンヘン安全保障会議では、妻のナワリナヤ氏が急きょ登壇し『プーチンは責任を取らなければならない』と演説し、大ニュースとなりました。今回の毒殺発表は、世界で大ニュースとして報じられるためにこのタイミングだったのでしょう」と指摘する。死から2年のタイミングだった。
また、仮にプーチン氏がエピバチジンを使って殺害したとしたら、なぜなのか。
「エピバチジンは、ロシアでは自然に存在しない毒なので、ロシアの医療機関が検視しても毒物検査の対象外になりやすく、自然死に見せかけやすいというのがあります。一方で、プーチン体制では、反体制派に対し、神経毒ノビチョクや放射性物質ポロニウムを使っています。海外の機関がエピバチジンを特定したとして、特殊な毒を使うことで、殺害方法を劇的に見せ、反体制派への威圧になります。自然死ならそれでもいいし、発覚を織り込んでいたとしたら、反体制派への見せしめと国際社会への挑発になるでしょう」と同事情通は話している。












