今オフにフィリーズからFAとなり、レッドソックスに移籍した左腕のレンジャー・スアレス投手(30)が21日(日本時間22日)、ボストンの本拠地フェンウェイ・パークで入団会見を行った。その会見の席上で宿敵ヤンキースとのライバル関係にまつわる「疑問」を明かし、話題を呼んでいる。

 地元ボストンの放送局「NESN」は、この日の会見でスアレスがベネズエラで育った少年時代の思い出について回想したことをクローズアップ。スアレスによれば当時、現地で放映されるMLB中継の中心が常にレッドソックス対ヤンキースだったという。そして「世界中がヤンキースファンなのに、なぜ誰もボストンを応援しないのだろうと、いつも不思議に思っていた」とも述べた。その率直な言葉は外から見た伝統の一戦を浮き彫りにし、ボストンファンの胸を打った。

 スアレスは今オフ、5年総額1億3000万ドル(約206億5000万円)の破格契約でレッドソックスと契約。近年では球団最大級の投資となり、先発ローテーション再建の要として迎え入れられた。2012年のプロ入りから昨季まで所属していたフィリーズでは、25年に26試合先発で12勝8敗、防御率3・20を記録。速球派ではないが、制球力と投球術で打者を抑え込むスタイルで22年以降はリーグ屈指の安定感を誇る左腕へと成長した。

 ポストシーズンでの実績も光る。通算11試合で防御率1・48。昨季のナ・リーグ地区シリーズではドジャース相手に5回1安打1失点の好投を見せ、その勝負強さを印象づけた。フィリーズから提示されたクオリファイングオファーを蹴っての決断は、条件面だけでなく「球団文化」「プレーオフの歴史」「フェンウェイの雰囲気」が大きかったという。

 少年時代に抱いた素朴な疑問はやがて憧れへと変わり、ボストンの一員となることで結実した。世界的人気を誇るヤンキースに対し、あえてレッドソックスを選んだ左腕。その背景にある物語は、数字以上の意味をボストンとの契約に与えている。