第104回全国高校サッカー選手権決勝(12日、MUFG国立)、昨夏の全国高校総体(インターハイ)王者・神村学園(鹿児島)が、鹿島学園(茨城)に3―0で快勝し、悲願の初制覇で史上6校目となる夏冬2冠の快挙を果たした。熱戦の幕を閉じたが、今大会で話題となったのが〝疑惑の判定〟。勝敗を大きく左右するケースもあり、高校年代のビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)導入を巡る議論も沸騰した。そこで選手たちを直撃し、〝本音〟を探った。

 神村学園は前半19分、FW日高元(3年)が大会7点目で得点王を決める一撃で先制。圧巻の攻撃力を見せ、3発快勝で頂点へと上り詰めた。

 選手として1995年度大会で優勝し、指揮官としても頂点に立った有村圭一郎監督は「子供たちが今年2回も優勝させてくれて、本当に素晴らしい子供たちだと思う」と喜びが爆発。夏冬連覇に関しては「一つひとつ積み上げてくれた努力の結晶だし、神村学園をつないでくれた多くの先輩たちが、ちょっとずつ積んでくれた結果がたまたま今日出たと思う」と熱弁した。

 この日は歴代最多となる6万142人の大観衆が押し寄せ、今大会の注目度の高さが浮き彫りになった。一方、それと比例するように微妙な判定を巡る議論も過熱。特に、2日の3回戦で優勝候補の東福岡(福岡)が興国(大阪)に敗れた一戦は物議を醸した。

 東福岡が2―1とリードして迎えた後半アディショナルタイム、興国がロングスローの流れからFW笹銀志(1年)が同点ゴール。しかし笹はオフサイドの位置にいたため東福岡が猛抗議した。しかし判定は変わらず、2―2で同点に追いつかれた東福岡は悪い流れのままPK戦に突入し、興国に敗れ去った。

 東福岡が勝ち進んでいた可能性もあっただけに〝疑惑の判定〟として波紋を呼び、高校年代ではいまだ導入されていないVARの必要性を指摘する声もSNSなどで多く上がった。

 では、実際に選手たちの意見はどうなのか。鹿島学園のFW渡部隼翔(3年)は「審判も人間でミスはすると思う。それを改善できるなら(VARが)あってもいいのかなと思うけど、高校年代でそこまでする必要はあるのかみたいな意見も結構見た。これで3年間終わったチームもあることを考えたら、どっちかとは言えない。それは自分が当事者にならないと、気持ちは絶対わからないと思う」と複雑な表情を浮かべる。

 神村学園のMF岡本桂乙(3年)は「導入できるのであればした方が誤審も減ったり、正当なジャッジができると思う」としつつ「けど、そこは金銭的に難しい部分もあると思う」と実現へハードルの高さを指摘する。

 たしかに、各国トップリーグのようなVARのフル設備を高校年代にまで導入するのは費用や人員の面から困難だ。それでも、国際サッカー連盟(FIFA)がテストを進める簡易版VARなどコストを抑えた形ならば今後、実現度も上がってくるかもしれない。

 そうした点を踏まえ、渡部は「いい判定をしてくれるのであれば、導入してもしなくてもいいと思う。でも、した方が正確性とかが上がるなら、した方がいいんじゃないか」と支持。一方、岡本は「導入できるのであれば、してほしい気持ちはあるけど、自分たちはピッチで体現できるのは一生懸命頑張る、走るとかだと思う。ファウルも厳しい部分に関しては審判に任せるというか、そこの部分はジャッジはどうなっても」と語った。

 年々熱狂を増す高校サッカーにVARは必要なのか、議論も熱を帯びていきそうだ。