【テネシー州ナッシュビル11日(日本時間12日)発=森下久】森保ジャパンに大激震だ。主将のMF遠藤航(33=リバプール)が、北中米W杯に臨む日本代表から負傷のため離脱。その後、代表引退を電撃表明した。第2次森保政権を支え、リーダーとして引っ張ってきた大黒柱を失ったことで、イレブンには動揺が広がり、涙する選手も出た。強豪オランダとの1次リーグF組初戦(14日=同15日)が目前に迫る中、日本代表は大きな試練に直面した。

 この日、日本サッカー協会の山本昌邦技術委員長が現地で取材対応し、遠藤の離脱とFW町野修斗(ボルシアMG)の追加招集を発表。後任の主将はDF板倉滉(アヤックス)に決まった。

 遠藤は2月に左足の手術に踏み切り、以降は実戦から遠ざかっていたが、W杯には間に合うとの算段でメンバーに選出。5月31日の壮行試合アイスランド戦で約3か月ぶりに復帰したが、試合後に痛みが再発して別メニュー調整が続いていた。10日の練習は部分合流したが、メディカルスタッフから左足の状態が良くないとの報告を受けて森保一監督が決断した。

 イレブンは直前まで決定を知らされず、練習前ミーティングで指揮官から事実が伝えられた。主将から別れのあいさつはなく、突然の“別れ”となり選手たちも動揺を隠せない。10番を背負うMF堂安律(Eフランクフルト)は「悲しかったし、彼がチームのキャプテンであることは全員が認めていた。僕や滉君もキャプテンマークを巻かせてもらったけど、彼に勝てると思ってやっていない。偉大なキャプテンだった」。唯一無二の存在が抜ける穴はあまりにも大きい。

 ベテランのDF長友佑都(FC東京)は目に涙を浮かべ、言葉を詰まらせながら「すぐには心の整理ができなかった。航の気持ちを思うとつらかった…。替えのきかない存在なのは間違いないし、代表チームとしては正直、痛い」と厳しい表情。DF谷口彰悟(シントトロイデン)は「チームに対する影響が大きいのは間違いない」と懸念する。DF渡辺剛(フェイエノールト)によると、ミーティング中には自身をはじめ涙を流す選手もいたという。

 前主将でサポートプレーヤーとして同行するDF吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)も急きょ取材に応じ「南野(拓実)、三笘(薫)に続いて、今まで引っ張ってきた選手(の離脱)なのでダメージはある」と不安を吐露した。

 選手で唯一、遠藤と言葉を交わした新キャプテンの板倉は「たくさん会話できたわけではないけど、応援しているからと言ってくれた」と振り返る。練習前ミーティングでは「難しい部分はあるけど、ここから気を引き締めてやっていこう」とチームメートに呼びかけたという。“遠藤ショック”の中、森保ジャパンは決戦へと向かう。