【昭和~平成スター列伝】今年で52回目を迎えた「東京スポーツ新聞社制定2025年度プロレス大賞suppоrted byにしたんクリニック」の最優秀選手(MVP)はスターダムの上谷沙弥が初受賞。女子のMVP受賞は史上初の快挙となった。また来年1月4日東京ドームでオカダ・カズチカ(AEW)と引退試合を行う新日本プロレスの棚橋弘至は技能賞を獲得。史上初のグランドスラムを達成するなど話題の多い年となった。
棚橋は引退試合でのベストバウトも狙っているが、ちょうど10年前にはミスター・プロレスこと天龍源一郎が、65歳にして引退試合でベストバウトを獲得するという前代未聞の快挙を達成している。2015年11月15日両国国技館の引退試合はくしくもオカダが相手で、実現不可能と思われた決戦に向け「ベストバウトを狙ってやる」と公言した。試合は超満員札止め1万522人の絶叫と涙が交錯する異様な空間となった。本紙は1面で天龍の手記、6面で試合詳細を報じている。
「午後6時55分、天龍はデビュー戦の青いガウンを着て登場。オカダをニラみつけて臨戦態勢だ。いきなり逆水平チョップでオカダを場外に出すと、両手を広げてレインメーカーポーズ。さらにロープを広げて招き入れるしぐさで挑発した。その後は防戦一方となり、オカダに片足で踏みつけられた。しかし四つん這いとなったオカダに頭突き3発から顔面キック、逆水平、グーパンチの雨アラレ。ブレーンバスター、WARで畳み掛けた。10分過ぎにはレインメーカーをカウンターのグーパンチで阻止。両ヒザをついたオカダに低空延髄斬り。さらにパワーボムで担ぎ上げるとクラッチせずに叩き落とす新技『65歳9か月』を披露。オカダの首はぐにゃりと折れ曲がった。それでも倒せない。天龍は腰の痛みに耐えて何度も立ち上がったが、最後はレインメーカーでフォール負け。見事な大往生だった」(抜粋)
オカダは大の字の天龍に深々と一礼。選考会ではボロボロになるまで戦い抜いた天龍の意地と心意気が評価された格好で、1回目の投票で過半数の12票を獲得。何と16年ぶり9度目のベストバウト(史上最多タイ)を獲得した。
後日、天龍は「ベストバウトを狙うとは公言したが相当なプレッシャーに襲われた。でもこれで肩の荷が下りた。見てくれた人に勇気を与える試合ができたと思う」と語っている。しかし天龍らしく「カーッ、あの野郎、パワーボムをこらえて会場を見渡す余裕があったのか。カメレオンみたいな野郎だな」と罵詈雑言も忘れなかった。棚橋の記録達成にも期待がかかるが、65歳での引退試合ベストバウトは未来永劫に不滅の記録だろう。
MVP4回、ベストバウト9回の受賞を記録した天龍こそまさに「ミスター・プロレス大賞」だった。引退後は闘病期間もあったが、12月13日の天龍プロジェクト大阪大会では解説からサイン会まで元気な姿を見せている。天龍には永遠にマット界の「ご意見番」でいてほしい。 (敬称略)













