阪神・村上頌樹投手(27)が残された最後の栄誉に狙いを定めた。

 右腕は2025年シーズンの開幕投手を務めると、14勝(4敗)、勝率7割7分8厘、144奪三振の好成績で〝投手3冠〟に輝いた。23年にはMVP、新人王、最優秀防御率のタイトルを獲得し、残る投手主要タイトルは「沢村賞」ただ1つ。今オフのゴールデン・グラブ賞授賞式でも「来年以降は狙ってやっていきたい」と強い意欲をのぞかせていた。

 25年の沢村賞候補にも名を連ねたが、受賞した日本ハム・伊藤大海投手(28)とは完投数、イニング数で差をつけられた。村上は完投した3試合いずれも完封だったが沢村賞の基準(10完投)には届かず。来季から基準が8に緩和される完投数がポイントとなりそうだが、今年はマインドを変えた一戦があったという。

 開幕戦となった3月28日の広島戦(マツダ)。4―0で9回二死まで腕を振ったが一、三塁のピンチを背負ったところで降板。あと一歩で開幕完封勝利を逃した。「広島戦は自分にとっても大きな一戦でした。あそこで完封できてたら、逆に3完封もできていなかったと思います。9回の考え方が自分の中ではダメだったので」

 8回までは平常心でマウンドに上がったが、9回は力が入りすぎてしまい空回り。「9回で完封したいっていうのはあったんで。甘く入らないように厳しいコースに投げようと思いすぎて、結局ボール先行になって甘い球を打たれて本当に悪循環でした」と振り返る。

 悔しい登板を経験したからこそマウンドでの考え方をガラリと変えたという。「だったら9回を特別に思うのではなく1回から8回までやってきたことを継続して投げればいいやって」

 その結果5月2日のヤクルト戦(甲子園)、同10日の中日戦(甲子園)では圧巻の2試合連続完封。思考を変えたことが大きな成長につながった。「ヤクルト戦でうまくいって。中日戦ではマダックス(9回100球以下で完封)を達成できて。そういう考えでいけばいいんかなと思えるようになりました」と確かな手応えを口にしていた。

 来季も9回を特別視せず淡々と自分の投球を重ねていけば、沢村賞への壁を越える瞬間が待っているはずだ。