今オフの先発市場で、思わぬ〝伏兵左腕〟が急浮上してきた。ナショナルズのマッケンジー・ゴア投手(26)のトレード説が水面下で一気に加速している。MLB公式サイト「MLB.com」によれば「間違いなくトレードが起こる投手」として複数球団が動向を注視しており、さらに米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」も「リーグの半数以上が興味」と内情を伝えている。

 ゴアは高校時代から「天才左腕」として名を馳せ、プロ入り後も球団の柱として期待されてきた。今季は低迷するチームで打線の援護を得られず、勝ち星を手にできない試合も多く5勝15敗、防御率4・17。それでも185三振はキャリアハイをマークし、ストーブリーグの市場では「〝勝てる球団〟へ移籍すれば、最多勝争いも十分可能」と高い評価を得ている。

 FAではなく、契約もまだ球団コントロール下で2年残る価値の高い投手。しかしながら複数の球団はゴアに食指を伸ばそうとアプローチをかけており、ナショナルズ側も交換条件として高い要求を提示しているとされる。〝隠れ人気物件〟どころか、今や市場の最重要カードとなりつつあるようだ。

 スクバル(タイガース)、ペラルタ(ブルワーズ)らの人気投手たちが現在のトレード市場に並んでいるともっぱらだが、両球団の放出意思は依然不透明。こうした状況下でゴア放出の可能性はMLB公式サイトも報じたことからウワサの域を越え、高まりつつあるようだ。マーリンズのアルカンタラ、カブレラ、ウェザーズらの名前もトレード市場で名前が取り沙汰られているものの即戦力性や年齢、契約年数のバランスで見ればゴアは多くの他球団から「取り逃がせない逸材」という評価が浸透している。

 そして、ここに来てゴア獲得レースに王者ドジャースも参戦機会をうかがっているという。ブルペン再編に加え、先発の枚数確保はストーブリーグにおけるLAの「恒例行事」。すでに有力投手大半のサラリーが高額化し、年齢面でのしわ寄せも懸念され始めている中、さまざまな観点で〝余裕〟が残る26歳左腕は喉から手が出るほど欲しい存在だ。

 複数のMLB有識者は「ドジャースは必ず動いてくる」と予想しており、今後の展開次第では争奪戦を主導する可能性すらある。

 一方、レッドソックスやパイレーツ、マーリンズなど先発強化が急務の球団も虎視眈々とゴアを狙う。特にマーリンズは投手放出と補強を同時に進めており、ゴア獲得の余地を残す。各球団が投手の〝玉突き状態〟にある今、ゴアを巡る動きは市場全体を揺るがす引き金となりそうだ。

 ナショナルズがどこまで要求を積み上げるか。そして誰がこの〝隠れた至宝〟をつかむのか。ゴア争奪戦は、その行方次第で今冬のMLB市場において最大のサプライズを引き起こすことになるかもしれない。