この男の一軍台頭なくして、常勝の道筋は立たない。今季ウエスタン・リーグ2冠王のソフトバンク・笹川吉康外野手(23)が危機感いっぱいに6年目の飛躍を誓った。25日に福岡市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、200万円アップの年俸1000万円でサイン。今季は自己最多の26試合に出場するも一軍定着とはいかず、実力不足を真っすぐ受け止めた。
交渉を終えた23歳は昇給に「球団からは『順調に来ているんじゃないか』と言われた」と明かした上で「このまま成長し続ければ順調っていうふうになるけど、うまくいかない年もある。僕より全然若い人でも活躍しているし、何歳から一軍に行くとかでもない。だから順調でもない」と厳しい表情で言い切った。身長194センチ、体重97キロのロマンあふれる体格から放たれる弾道を「天性のもの」と評したのは王会長。紛れもなく鷹の有望株筆頭だ。
だが、この日は一貫して「順調っていうのは〝怖い言葉〟ですよね…」などと含蓄に富んだ表現で強い危機感をのぞかせた。今季二軍で本塁打、打点の2冠に輝いたが、シーズン中から「二軍の数字」に一切興味を示さなかった。今季の一軍でのパフォーマンスを振り返る際も、笹川自身が挙げたのは走塁ミスなど「凡事徹底」が至らなかったプレーばかり。味方の信頼を得て、首脳陣に「辛抱してでも使いたい」と思わせる上がり目を見せなければチャンスは減っていく。来季の目標に「一軍完走」を掲げる23歳の本気度がひしひしと伝わる契約更改だった。
かねてホークスは一軍の壁が厚く、編成の新陳代謝が激しい。育成を含め毎年120人前後の選手を保有するだけに、有望株の〝賞味期限〟は他球団よりも短い。真の常勝化を意味する「V10」を掲げる鷹。実現するには、笹川世代の突き上げなくしてあり得ない。「ダイヤの原石。来年以降、ウチを代表する選手になってもらいたい」(三笠GM)。目の色を変えた23歳に変貌の予感が漂う。(金額は推定)












