今季限りで現役を引退した巨人・長野久義氏(40)が、23日に東京ドームで行われた引退セレモニーでプロ野球人生に幕を下ろした。周囲へのこまやかな気配りを貫いたスターの旅立ちに、若手選手たちからも惜しむ声が上がっている。

 当日のフィナーレでは、花束を手渡した阿部慎之助監督(46)と盟友・坂本勇人内野手(36)が思わず涙をこぼし、長野氏も目を潤ませながら抱擁を交わした。スタンドの惜別ムードは高まり、東京ドームは温かな余韻に包まれた。

 気遣い屋でユーモアあふれる人柄も、この日にふさわしい形で表れた。長野と坂本の記念撮影を見守っていた今季プロ3年目の門脇誠内野手(24)は「勇人さんと泣きながら写真を撮っていたんですが、(長野氏が)ちゃんと背伸びしていて。『この人、感情は泣いているのに足は浮いてるんだな』と。あれが長野さんだなと思いました」と、感動の場面にのぞいた〝らしい仕草(しぐさ)〟を振り返った。

 また門脇によれば今季、打撃不振で二軍暮らしが続いていた時には長野氏のさりげない助言に救われることが多かったという。「ひと言をくださる時の間合いというか。意識されていないと思うんですけど、そのひと言が本当に刺さる。言葉にも背中にも重みがあり、両方の意味でマネしたいと思える方でした」と、尊敬の思いを隠さない。

 少年時代に「長野久義」のタオルをスタンドから掲げていた2024年ドラフト2位ルーキー・浦田俊輔内野手(23)も、こう深い感慨を語る。「長野さんと野球できるとは思ってなかった。タオルもユニホームも買ってずっとファンだったんですよ。あの場に立ち会えてすごいうれしかったですね。もらい泣きしそうだった」

 プロ入り後にサインをもらった背番号7のタオルは糸がほつれるほどに使い込まれながら、今も実家で大切に保管している。二軍でともに過ごした「貴重な期間」には、打席での状況判断や技術面でも多くを吸収したという。「分からないことがあればすぐ聞こうと思っていた。長野さんの引き出しは本当に勉強になる」(浦田)と語るように、背中で示すベテランの姿勢は若手に強い影響を与えていた。

 長野氏の名を口にすれば、誰もが名残惜しさをにじませる。それでもG戦士たちは背番号7が残した〝置き土産〟を胸に刻み、確かな遺伝子を受け継ぎながら鍛錬を続けていく。