高市早苗首相が国会答弁で台湾有事をめぐって、「存立危機事態になりうる」と発言したことに中国側が猛反発。日本への渡航自粛や留学の慎重検討を呼びかけ、日本側の出方次第ではレアアースの輸出規制などの強硬措置に踏み切る可能性がある。高市首相は発言を撤回する姿勢はなく、互いに引くに引けない状況に陥っている。
高市首相は7日の衆院予算委員会で立憲の岡田克也元幹事長から台湾有事を巡る存立危機事態の具体例を尋ねられ、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば」と答弁。政府は従来、仮定の話や特定のケースには言及しない姿勢を取っていたが、台湾有事での存立危機事態に持論がある高市首相は用意された官僚答弁を超えて、踏み込んだ形となっていた。
これに中国の薛剣・駐大阪総領事はXに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿。「外交官としてあるまじき発言」と薛氏へ非難が殺到し、自民党は国外退去処分となる「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」を求めたことで、国際的な批判を浴びるのを恐れた中国側は「高市発言」に焦点を当て、撤回を要求し、応酬合戦に発展した。
中国外交部報道官はSNSで「中国人民のボトムラインを挑発しようとすれば必ず中国側の痛烈な反撃を受け14億を超える中国人民が血肉をもって築いた鋼鉄の長城の前で頭を割られ血だらけになるのだ」と日本語でメッセージまで寄せた。
自民党の細野豪志衆院議員は16日、堀江貴文氏がMCを務めるYouTubeの政治討論番組で「5~6年前から台湾有事のシミュレーションを有識者とやっている。台湾には数万人の日本人がいる。尖閣諸島も彼らの主張では台湾の一部。実際、日本も巻き込まれると考えるべき。それをちゃんと認めていないので、どうやって邦人保護するのかすら、まともに検討できていなかった」と高市発言を評価した。
保守層からはペルソナ・ノン・グラータの通告を求める声が高まっており、高市首相は70%の高い支持率を背景に強気の姿勢を堅持する方針で、今後は存立危機事態の個別具体例の発言こそ控える一方、撤回する意思はない。
落としどころが見つからない中で、動向が注目されるのはトランプ米大統領だ。13日に台湾へ総額3億3000万ドル(約509億円)相当の武器売却を承認したが、日中の対立には言及を避けている。米側は同盟国に防衛費増額を求め、日本はGDP比2%への引き上げ目標を今年度内に前倒しを表明したが、非公式でさらなる引き上げを求められている。トランプ大統領は日中の緊張は好都合と見ているフシもあり、〝介入〟があるかは不透明だ。












