財産を得る目的で毒性のあるタリウムを叔母(61)に摂取させ殺害しようとしたとして、大阪府警は24日、殺人未遂の疑いで無職宮本一希容疑者(37)を再逮捕した。叔母は意識不明の重体で入院。容疑者は入院後に叔母の不動産会社の代表取締役に就任しているほか、同様の手口による女子大学生の殺人罪で起訴されている。それにしてもなぜ入手困難なタリウムを使用できたのか。
再逮捕容疑は2020年7月中旬ごろ、財産を得る目的などのため、叔母にタリウム化合物を摂取させ殺害しようとした疑い。府警によると、宮本容疑者は黙秘している。
叔母は同月に腹痛などの体調不良を訴えて入院し、現在も意識不明の重体。当時、体調不良の原因が分からなかったため、病院が尿や血清を保存していた。それを府警が鑑定したところ、タリウムが検出された。叔母は不動産賃貸会社を経営していたが、入院後の20年10月に容疑者が代表取締役に就任した。
同容疑者は昨年10月に知人の立命館大3年浜野日菜子さん(21)にタリウムを摂取させ殺害したとして、今年3月に逮捕、起訴された。
今回のタリウム事件では動機が明瞭に見えるが、謎なのはなぜ入手が難しいタリウムを使用することができたのか、そしてその入手経路だ。容疑者は20年2~7月、殺人やタリウムに関して複数回インターネットで検索した履歴がスマートフォンから確認されたという。
医療関係者は「タリウムは水に溶けやすいし、無味無臭。厚生労働省によると、成人における平均的な致死量は1グラム。大昔は殺鼠剤で使われることもあったが、現在はタリウム中毒に対応したことがある医者はいないはずで、症状を見てタリウム中毒と判断できる医者はほぼいない」と指摘する。
ただタリウムを入手するのは極めて難しい。ネズミ駆除には、タリウムをパンに染み込ませたものを使ったりしたが、無味無臭が災いして、子供の誤飲誤食が起き、危険すぎるために1970年代に世界保健機関(WHO)が各国に使用中止を勧告した。日本でも販売に規制がかかるようになった。
2015年1月に殺人事件で名古屋大の女子学生が逮捕された際、捜査の過程で女子大生が高校時代、同級生にタリウムを飲ませていたことが発覚した。
「とっくに殺鼠剤の中身はタリウムから他の毒物に置き換わっていた。毒物及び劇物取締法では、18歳未満に販売禁止だし、販売時は住所氏名を記載させなければならなかった。その帳簿は5年間保存が義務付けられ、何かと管理が大変なので、タリウム入りの殺鼠剤などは扱わない店がほとんど。しかし、地方の個人店では何十年前の殺鼠剤をそのまま売っていた。女子大生は地方で年齢を偽って購入できたそう」(同)
この事件後、厚労省は販売業者に対し、一般人への販売自粛を指導した。宮本容疑者の入手方法はまだ分かっていないが、ネットの違法販売で入手説、業者から分けてもらった説などが出ている。当局は入手経路を含めて捜査を進めている。












