千葉県の市川市動植物園は19日、子ザルのパンチくんがいるサル山に侵入したとして米国人観光客の男2人が逮捕された事件を受け、サル山の撮影を全面禁止することも検討していると明らかにした。すでに観覧規制エリア拡大と、侵入防止ネット設置といった対策は実施中。今回の事件の背景には、迷惑系インフルエンサーにとって日本がターゲットになりやすいと事情があるという。

 県警は、威力業務妨害の疑いで逮捕したいずれも自称、米国籍の大学生リード・ジュナイ・デイソン容疑者(24)と歌手ニール・ジャバリ・デュアン容疑者(27)を19日、送検した。

 逮捕容疑は、共謀して17日午前10時50分ごろ、デイソン容疑者が着ぐるみ姿でフェンスを乗り越えてサル山に侵入し、デュアン容疑者がフェンスの外からその様子をスマホで撮影し、業務を妨害した疑い。

 パンチくんは、出生直後に母親から育児放棄され、オランウータンのぬいぐるみを母親代わりに抱いて過ごす痛ましい姿で世界的に人気が出た。

 米メディアによると、デイソン容疑者の着ぐるみは、「ミームコイン」と呼ばれる暗号資産を宣伝する際によく使われる絵文字を意識したものとみられる。

 デイソン容疑者のインスタグラムには、チェコ、メキシコ、韓国、日本など世界各地を旅行する様子や、高級腕時計や高級車、札束などを見せびらかしながらオンラインコンテンツを宣伝する投稿が並んでいる。

 両容疑者は迷惑系インフルエンサーとみられる。そして迷惑動画を撮影し、ミームコインを宣伝しようとしたようだ。

 IT事情通は「普通の旅行動画や音楽活動では埋もれてしまうため、常識外れの行動を行い、『日本で逮捕』『パンチくんと接触』といった強いタイトルを作ることで、SNSアルゴリズムに乗せようとします。ド派手な生活ぶりをインスタでひけらかしているのも、迷惑系インフルエンサーの典型的なパターンです」と指摘する。

 金持ちに見せたり、違法行為そのものが注目を集め、金銭を得る手段になっているわけだ。特に日本は彼らのターゲットになりやすいという。

「海外の迷惑系インフルエンサーにとって、日本という場所が〝炎上するコンテンツを作りやすい国〟と見られているようです。欧米では、迷惑行為をすると周囲にいる一般人が強く制止したり、警備員が力づくで排除したりします。日本は、寺社、公園、鉄道、飲食店、動物園など、比較的緩やかなため、〝撮れ高〟がいいようです」(同)

 市川市動植物園がサル山の全面撮影禁止を検討するのも仕方がないのかもしれない。