「ルフィ」などと名乗りフィリピンから広域強盗事件を指示した疑いがある渡辺優樹被告(39)らの特殊詐欺グループの「掛け子」4人が、24日にもフィリピンから強制送還される。寺島春奈(28)、熊井ひとみ(25)、佐藤翔平(32)、藤田海里(24)の容疑者計4人は今年2~4月、フィリピンで逮捕され、入国管理局ビクタン収容所に収監されていた。警視庁の捜査員15人が23日にフィリピンに入り、24日にも日本への移送中に機内で逮捕する予定。日本で取り調べを受けることで、いよいよ全容解明に近づきそうだ。

 ルフィグループによる一連の特殊詐欺事件ではルフィの可能性がある渡辺被告らを含め、掛け子や実行役の計約70人が逮捕されている。被害は約2300件で60億円以上に上る。今回の4人は2019年に東京・渋谷区の高齢女性に特殊詐欺を働いた疑いで、22年9月に逮捕状が出ていた。

 寺島容疑者は2月28日に、熊井容疑者と藤田容疑者は3月10日に、佐藤容疑者は4月24日にフィリピンで拘束された。

 日本の人気漫画・アニメ「ONE PIECE」のキャラクター名「ルフィ」を特殊詐欺および広域強盗という犯罪の“コードネーム”として使用するとは許されないことだが、元キャバ嬢の寺島容疑者、ミスキャンパスのファイナリストの熊井容疑者には、ネット掲示板やSNSで同作にちなんで「ナミが逮捕された」とする書き込みもある。

 フィリピンで拘束後、入国管理局で撮られたマグショット(犯罪容疑者の顔を識別するために撮影する写真)を見たSNSユーザーたちからは、2人ともノーメークながら写真写りがよいといわれている。

 また、寺島容疑者は身長165センチオーバーで、ミスコン出場経験のある熊井容疑者は身長160センチのナイスバディ―。身長170センチという設定のナミをほうふつとさせるようだ。それぞれがフィリピンで拘束されたニュースが流れた際、SNSなどに「ナミだ」と書き込まれた。

 関係者は「長野出身の寺島容疑者は高校中退後、上京し、キャバクラ嬢をやった経験があるそう。熊井容疑者は都内出身で、美大に進学し、日本最大級の大学新入生のミスコンに出場してファイナリストになった。派手な生活になり、大学を中退したということです」と指摘する。

 ルフィの事件に関しては、渡辺被告がフィリピンの廃ホテルにアジトをつくり、特殊詐欺マニュアルを持っていたリーダー格とみられる。いずれも渡辺被告と同日または同時期に強制送還された今村磨人被告が渡辺被告と同格に近い取りまとめ役、藤田聖也被告がSNSで闇バイトする人を集めるリクルート役、小島智信被告が金庫番とされる。

 この4人が「指示役」で、その下に200人以上の掛け子、たたき(強盗)の実行役、被害者から現金を受け取る「受け子」、被害者に振り込ませたカネをATMから引き出す「出し子」、詐欺や強盗で奪った現金を回収する「回収役」などがいたということになる。

 元暴力団関係者は「受け子、出し子は外部発注することもあるぐらいで、逮捕されることが前提なので、何も情報を与えられていません。しかし、掛け子は特殊詐欺グループの指示役から役割や演技の説明を受けたりするので、受け子よりは情報を持っています。何より、渡辺被告、今村被告らは女に目がないという情報がさかんに報じられています。寺島容疑者、熊井容疑者と男女の関係があった可能性も考えられます」と指摘している。