元衆院議員で実業家の糸山英太郎氏(83)が本紙インタビューに応じ、続投に意欲を見せる石破茂首相に引導を渡すと同時にふがいない与野党に“喝”を入れた。かつて政界の暴れん坊として歴代の自民党政権を支えた糸山氏が、“日本再生”に向け、次の首相として、名前を挙げた人物は――。
「日本の国はこのままでいいですかという瀬戸際にある」と危機感を募らせたのは糸山氏だ。昨年の衆院選に続き、参院選でも自民党は敗れ、両院で与党過半数割れの事態に陥った。政局は混迷し、石破首相は潔く身を引くかとみられたが、「責任を果たしたい」と辞任を否定。党内では石破おろしの風が吹き荒れ、分裂しかねない状況となっている。
糸山氏は参院選前から石破首相の政権運営に三くだり半を突き付けていた。6月に行った自身の祝賀会の席上、石破首相の顔パネルを木刀で一刀両断し、集まった1300人の来場者からは拍手喝采が起きた。
「自民党幹事長室からは『このままだと自民党はダメになる』と随分電話があったが、引退した人間が言うべきことはないと。それでも偶然、(山口組三代目組長の)田岡一雄さんの45回忌で、『どうしたらいいものか』と墓前で問いかけていたところだ」
これまで数多くの政治家を指南してきた糸山氏だが、この期に及んでも居座る石破首相にはあきれ果てるばかりだ。
「人間はたとえダメでも優しさや人間味があるものだが、石破はそれがない。呼んで、説教をしようとか電話をしてあげようかという気にもならない。負けたんだから辞めるべきだし、このままじゃトランプが来た時も相手にしてもらえない。25%の関税が15%になったと喜んでいるが、しっかりと日本はお土産を取られますよ。ただ、このままの状況が続いて、野党が不信任案を出せば、自民党の中からも賛同者が出て、通ってしまう。8月15日ごろがヤマ場になる」と辞任に追い込まれるのは不可避とみている。
次の総裁、首相はどうなるのか。世論調査では小泉進次郎農水相の名前が挙がるが、糸山氏は高市早苗前経済安保相を推した。
「国際情勢が緊迫する中で、今はアメリカ一辺倒ではダメで、中国、ロシアもだいぶ傾いているが、北朝鮮がいつ核を使うかも分からない。石破だ、小泉だ、(憲法)9条改正だと言い出すとややこしくなる。高市はタカ派だというが、用心深い。今、日本は静かにすべきで、首相に初めて女性がなることで、(他国から見れば)安心感があるかもしれない。自民党のレピュテーション(評判)を良くするために1年でもいいから、物価を上げない、税を上げない、柔らかい政治をするべきだ」
自民党がいったん下野し、立憲民主党の野田佳彦代表や国民民主党の玉木雄一郎代表に政権を託す案も出ている。
「玉木は確かに口はうまいので、野田よりかはいいかもしれんが、スケベだからなあ(笑い)。男だからスケベは認めるが、首相になって、国民がみんな信じてついていくかというと勉強が浅い。参政党が躍進したというが、神谷(宗幣代表)は話がうまい、カッコイイと言われているだけで、実際に何ができるの?という話。何もできないよ。自民党が下野するということは政権を放棄することで、また鳩山由紀夫や菅直人の時のようにトンチンカンな政治が回ることになる。一回ガラガラポンをやって、キレイに本当の保守と革新に分ける時代になってきたかもしれない」と野党リーダーの中にはお眼鏡にかなう人材は見当たらず、大きな変革期に突入する可能性も予見した。
糸山氏は日本の政治が低迷する背景に岸田文雄前首相や石破首相をはじめとした世襲議員の多さも触れた。「2世議員だらけで、相続税なしで、おカネを引き継いでしまう。だいたいお父さんが大臣をやる時に秘書官を務める。2世の秘書官には各省庁のキャリアが付いて、全部原稿も作ってもらって、勉強しない。肩書だけが付いて、政治家としての魂や根性、真心がない」と気骨ある政治家がいないことを嘆いた。
さらに政治とカネの問題が長く政治不信の背景にあることに「おカネがないから政治家になって楽をしようという人たちもいる。官房機密費は野党ももらっていて、政治とカネの問題は与党も野党もない」とバッジにしがみつく“職業政治家”があふれている現状も問題視した。
「僕だから言えるかもしれないが、政治家はある程度、収入がある人じゃないとやりにくいポスト」と経営者出身の政治家が多数派を占める環境が必要だとも説いた。
☆いとやま・えいたろう 1942年6月4日生まれ。東京都出身。事業家、投資家で名をはせ、中曽根康弘氏の秘書を経て、74年の参院選全国区で当時最年少(32歳)で当選。参院1期、衆院3期目の96年に議員辞職。実業に返り咲き、JALの筆頭株主で話題になり、フォーブス誌の億万長者でトップ10入り。新日本観光株式会社代表取締役会長、湘南工科大学名誉総長。













