「ルフィ」などと名乗りフィリピンから広域強盗事件を指示した疑いがある渡辺優樹被告(21日に詐欺容疑などで7回目の逮捕)ら特殊詐欺グループの素顔や東京・狛江市の強盗致死事件時の様子が明らかになった。同グループの「掛け子」で、昨年1月に東京・足立区で起きた強盗未遂事件で強盗予備罪で起訴された山田李沙被告(27)が21日の初公判(東京地裁)で証言した。

 同被告は昨年8月に窃盗罪で懲役3年の実刑判決を受け、現在服役中。この日の公判で起訴内容について「間違いありません」と認めた。

 山田被告は2019年に闇バイトに応募し、フィリピンで渡辺、藤田聖也両被告と接点を持った。その後、逮捕状が出ていることを知り日本大使館に出頭。昨年1月に同国の入管施設に収容された。

 そこで渡辺、藤田両被告と再会。収容所には派閥があり、日本人派閥のボスとして紹介されたのが今村磨人被告だった。山田被告は、入管施設の劣悪な環境の中で今村被告から食料やタバコをもらって生活していた。

 渡辺被告は脱獄を画策しており、「実行するためには大金を稼ぐ必要がある」と話していたいう。脱獄するには関係者に配る賄賂のための金が必要となり、掛け子時代のリーダーだった藤田からアポ電を命じられた。山田被告は断ったが「『自分の立場を分かっているのか』と威圧的に怒られました」。

 足立区の事件の前に起きた東京・狛江市の強盗致死事件では、今村被告が「かなり焦っていた」と証言。「渡辺さんがケータイで狛江市の事件を見て今村さんに対して『これ、どうすんの?』と責めていた。(今村被告は)『殺すつもりはなかった』と言って焦り始めて日本側の誰かと連絡を取っていた」と生々しいやりとりを明かした。

 また、法廷ではルフィグループ幹部3人の素顔についても語った。幹部の中で最も凶暴なのが藤田被告。「脅し文句、暴言も多くて怖い人。『女でも関係なくボコボコにするぞ』と言われました」と恐怖で従わされた。

 今村被告については「陽気なおじさん。所長のオフィスに出入りしてお金を払って仲良くしていた」と評する一方で「収容されている日本人の若い男の子たちの足を火であぶって遊んでいた」とその二面性を語った。

 渡辺被告は「みんなでお金を稼いでみんなで幸せになろうという考え方」だが、「被害者がいることを考えると身近な人を幸せにするだけ」なので注意を払っていたという。

 検察は山田被告に懲役1年6月を求刑。山田被告は今後予定される幹部たちの裁判に「呼ばれることがあれば全面的に協力したい」と述べた。判決は3月5日に言い渡される。