思わぬことで組織の全容解明に近づきそうだ。「ルフィ」などと名乗った広域強盗事件の指示役とされる今村磨人容疑者(39)が、警視庁原宿署に勾留中だった2月下旬、接見室で弁護士が持ち込んだスマートフォンを使い、アクリル板越しにフィリピンにいた〝黒幕〟とみられる人物とビデオ通話した疑いがあることが判明したのだ。通話相手はフィリピンを根城にした犯罪組織「JPドラゴン」の日本人幹部とみられている。

 今村容疑者はフィリピンを拠点とした特殊詐欺グループの幹部。2月7日に日本へ強制送還後、特殊詐欺事件絡みの窃盗容疑で逮捕され、原宿署の留置場で勾留されていた。JPドラゴンの日本人幹部は今村容疑者に対し、特殊詐欺への組織的関与などを口止めしたとみられている。

 それにしても身柄拘束中の容疑者がスマホを使って外の人間と会話することが日本で可能なのか。法律で容疑者は弁護人や弁護人になろうとする弁護士と留置係(警察官)の立ち会いなしに面会できる。容疑者と弁護士は、裁判の戦術など捜査機関に聞かれたくない会話もするため、留置係は立ち会わず、会話は録音も録画もされないことになっている。

 元警察関係者は「立ち会いなしといっても、持ち物検査をやらないだけで、スマホを接見室に持ち込むのはダメですし、弁護士が容疑者と第三者をスマホで通話させるのは言語道断です。それにしても暴力団や半グレなどの組織犯罪で逮捕された者がいた場合、接見できる弁護士が口止めなどの伝言係を務めるということはありますが、危ない橋を渡ることになるスマホ越しに通話しなければいけないほど、JPドラゴンサイドは焦っていたのでしょうか」と語る。

 弁護士は別の事件の詐欺罪で実刑判決、控訴審公判中の加島康介被告で、警視庁は証拠隠滅容疑で加島被告の事務所と自宅を家宅捜索した。加島被告は接見後、今村容疑者の弁護人には選任されなかった。

 今回の件で、ルフィ事件の全容解明に近づくのではないかといわれている。

 元暴力団関係者は「JPドラゴンは長年、フィリピンに根を張り、日本人裏社会を牛耳っている組織です。ルフィ事件の黒幕の一人とされる渡辺優樹容疑者のグループにアジトを与えるなどし、犯罪収益の一部を上納させていたとみられます。ルフィ事件ではJPドラゴンにも捜査の手が及んでいました。今回の口止め電話で、日本の警察からフィリピン警察に拘束を依頼できるきっかけになり得ます」と指摘した。