圧倒的な強さで今季のセ・リーグを制した阪神だが、ソフトバンクとの日本シリーズは1勝4敗と力の差をまざまざと見せつけられた形で終了。チームの再強化に燃える藤川球児監督(45)も、秋季キャンプ地・安芸への合流を予定より早めるなど強い意欲をのぞかせている。

 虎のスクラップ&ビルドの鍵を握るのは〝受難の2021年ドラフト組〟になるのかもしれない。日本シリーズで露呈したのは6番以降を担う虎の下位打線の脆弱(ぜいじゃく)さ。「結局1年かけて誰も出てこなかったよな」と岡田前監督もボヤいた通り、インパクトのある選手が出現しなかったことが、ポストシーズンでは弱点となってしまった。

「6番・左翼」で今季の開幕オーダーに名を連ねていたのは、高卒4年目の前川右京外野手(22)だった。入団当初から非凡な打撃センスを評価されていた若武者は、オープン戦でも打率3割1分6厘の好成績をマークし本格的な開花を期待されていたものの、シーズン開幕後はなかなか状態が上向かずスタメンの座から早々に脱落。ファーム降格も味わうなど、不完全燃焼な1年となってしまった。

 21年ドラフトで前川と同期入団した1位・森木、2位・鈴木は今オフに戦力外。3位・桐敷や5位・岡留も今季は本来の力を十分に発揮することができなかった。

「神ドラフト」と称される20年組とは対照的に4位入団の前川も含めた21年組の多くにとって、25年シーズンは厳しい1年に終わった。その一方で6位・豊田や7位・中川は藤川新体制下で出場機会を少なからずゲット。来季の飛躍へ向けた足掛かりをつかむ形にもなった。

 来春には、3球団競合の注目ドラ1・立石正広内野手(22=創価大)や2位・谷端将伍内野手(21=日大)、3位・岡城快生外野手(22=筑波大)ら、前川と同学年に当たる選手たちが一斉に大卒ルーキーとして入団。チーム内の競争はより激化することになるが、プロの世界の先輩として彼らに負けるわけにはいかない。

 冬来たりなば、春遠からじ――。来季こそ美しい花を満開に咲かせたい。