西武の〝ポスティングラッシュ〟が幕を開けた。去就が注目されていたエース・今井達也投手(27)は10日、代理人を伴って球団側と会談。ベルーナドームで行われた秋季練習終了後に「去年、今年と納得がいくようなシーズン。自分が一番いい時、タイミングを逃したくない」と説明し、今オフにポスティングシステムを利用する形でメジャーリーグへ挑戦したい意向を球団に伝えたことを明かした。

 今井の海外FA権取得は最速で2027年中となっており、それまでは球団がポスティングシステムの申請を容認しなければ移籍は不可能。そうした背景もあり、西武・広池浩司球団本部長は「我々としては残ってほしい。これから検討する」と言葉を濁している。
 
 球団側は今オフ、国内FA権を取得済みでかねてポスティングシステムによるMLB移籍を要望してきた通算73勝右腕・高橋光成投手(28)の望みもかなえる方針。苦境の時代を支えてきた新旧両エースを同時流出させる決断の時が迫っている。

 水面下で下交渉を続けてきたことから、今井のポスティング容認も決定的。今井と契約した敏腕代理人のスコット・ボラス氏(72)が「2億ドル(約304億円)」ともささやかれる獅子新エースの市場価値をさらに高めるため、周到な下準備を進めているともっぱらだ。

 今井は今季チームトップの24試合163回2/3に登板。一方の高橋も今季は同3位となる24試合148回を投げている。両者がダブル流出となれば、2人合わせて48試合311イニングの今季登板数を来季に穴埋めできる代役は、チーム内に見つかるはずもなく、大きな痛手となるのは言うまでもない。

 今季のチーム打率(2割3分2厘)、同得点(410点)が2年連続リーグ最下位という状況を考えれば、現有戦力の大幅な底上げプラス大型補強でもない限り、まず優勝は狙えない。西武になって初の「4年連続Bクラス」という、夢のない来季が今から容易に予想される。

 2018年の浅村(現楽天)、炭谷(巨人→楽天→24年に西武復帰)から始まった主力野手のFAラッシュ。その後も19年の秋山(レッズ→パドレス傘下→現広島)、22年の森(現オリックス)、23年の山川(現ソフトバンク)と続き、18、19年連覇時の上位打線は、ごっそり姿を消した。

 そして、その時代の強力打線に育てられた主力投手陣も次々と海外へ流出しようとしている。早くからメジャー志向を公言している平良海馬投手(25)を含めれば、今オフのみならず来オフもあわせてポスティングシステムで一気に計3人抜ける構図は避けられそうもない。

 主力流出の歯止めが利かず、近年は育成に追われ続けている。その成果が出る前にチームは何度も解体を余儀なくされており「万年育成球団」のサイクルから抜け出せなくなっているのが現状だ。