リーグ制覇目前の阪神は31日の巨人戦(甲子園)に5―4で競り勝ちマジックは「7」。16勝8敗1分けという戦績で終わった8月は、全対戦カードで負け越しなしと安定した強さを全セ界に知らしめる形で終わった。
この日の一戦はゲーム中盤の6回終了時点まで、1―0の僅差で阪神がリード。だが終盤7回以降は、両軍のスコアボードに得点が間断なく刻まれ続ける慌ただしい展開となった。
球場所在地の兵庫・西宮市内は、ナイターゲームが行われた午後6時以降も気温が30度を超える熱帯夜。選手もファンも残暑の熱に浮かされた伝統の一戦では、ちょっとした〝珍事〟も飛び出した。
それは阪神の5点目となる佐藤輝明内野手(26)の適時打で発生した。場面は7回二死三塁。相手投手・中川が投じたインハイへの初球145キロシュートを右方向へ運んだが、インパクトの直後に虎の背番号8は、ファウルになることを確信したかのように打席内で棒立ちになる。
だが右翼から左翼方向へ吹く甲子園名物の「浜風」に押し戻された白球はフラフラと宙を舞いながら、ライトポールを巻くような軌道で左方向へ流されていく――。浜風の対応に不慣れだったかもしれない相手右翼手・中山はこれを捕り損ね、フェアグラウンド内にポトリとワンバウンド。白球はそのままフェンスを超えてスタンドに入り、適時エンタイトル二塁打となってしまった。
甲子園の外野フェンスはラバー部分と金網部分を合わせれば約3メートル以上とされており、決して低くはない。この日の一戦でテレビ解説を務めていた虎の重鎮・岡田彰布前監督(現オーナー付顧問)ですら「甲子園でのエンタイトルツーベースなんて初めて見ましたよ」と驚きを隠せなかったほどだ。
試合後の佐藤輝は、摩訶不思議なヘンテコ適時打を「いやー、あんな打球見たことなかったんで…。なんて言えばいいんですかね…。珍しかったです」とキツネにつままれたような表情で振り返る。虎の規格外男は、この日も新たな〝伝説〟を球団史に刻むこととなった。












